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平成13年度政府予算編成ならびに施策に関する要望 17.新農業基本法に基づく新たな地域農政の推進

印刷用ページを表示する 掲載日:2000年7月28日更新

平成13年度政府予算編成ならびに施策に関する要望

  1. 地方分権の推進
  2. 町村財政基盤の強化
  3. 国・地方間の財政秩序の確立
  4. ペイオフ凍結解除後における地方公共団体の公金預金の保護
  5. 情報通信技術(IT)の進展に対応した情報化施策の推進
  6. 国土政策の推進
  7. 地域活性化対策の推進
  8. 子育て支援対策の推進
  9. 社会福祉対策の推進
  10. 義務教育施設等の整備促進
  11. 青少年の健全育成対策の強化
  12. 生涯学習等の振興
  13. 老人保健福祉対策の推進
  14. 介護保険制度の円滑な実施
  15. 地域保健医療対策の推進
  16. 国民健康保険制度の抜本的な改革の実現
  17. 新農業基本法に基づく新たな地域農政の推進
  18. 森林・林業対策の推進
  19. 水産業対策の充実
  20. 地域商工業振興対策の推進
  21. 生活環境の整備促進
  22. 道路の整備促進
  23. 河川等の整備促進
  24. 土地対策の確立
  25. 災害対策の推進
  26. 町村消防の充実強化
  27. 戸籍制度等の抜本的な見直し
  28. 住民訴訟制度の改善
  29. 非常勤職員等の雇用の新たな対応
  30. 国会議員の選挙等の執行経費の基準の改善
  31. 地域交通対策の推進
  32. エネルギー対策の推進
  33. 過疎・へき地対策の推進
  34. 山村等地域振興対策の整備
  35. 豪雪地帯の振興
  36. 半島地域の振興
  37. 離島地域の振興
  38. 観光地所在町村の振興
  39. 水源地域対策の強化
  40. 産炭地域対策の推進
  41. 非鉄金属鉱山地域対策の推進
  42. 地域改善対策の推進
  43. 北方領土の早期返還
  44. 竹島の領土権の確立

17.新農業基本法に基づく新たな地域農政の推進

 

 わが国の農業・農村は過疎化・高齢化の進展による担い手の減少、耕作放棄地の増加また、国際化の一層の進展等大変厳しい状況にある。このような状況において、食料・農業・農村基本法およびそれを具体化する食料・農業・農村基本計画に即し、来るべき21世紀において安定した足腰の強い農業および農山村の構築を早急に実現する必要がある。           

 よって、国は次の事項を実現されたい。

 

1.食料自給率目標の達成                  

  21世紀において、国民に安全性の高い食料を安定的に確保するためには、近年の自給率の低下傾向に歯止めをかけ、主要先進国の中で最も低い水準にある自給率の向上をはかることが必要である。したがって、「食料・農業・農村基本計画」において示された食料自給率の目標を確実に達成するため国内農業生産振興対策を抜本的に強化するとともに食料消費については、食品の廃棄や食べ残しの削減等食生活の見直しについて周知・普及をはかること。   

2.国内農業生産体制の強化と国産米の消費拡大

(1)水田を中心とした土地利用型農業の推進

   米の需給事情を的確に反映した計画的生産の徹底および麦・大豆・飼料作物等の本格的生産の定着・拡大に向けて水田を中心とした土地利用型農業活性化対策の推進に当たっては、地域の実情に即した取り組みを推進すること。

   また、作付け面積を早期に提示するとともに作付け面積の配分、確認、助成金の交付等に係る町村の事務について町村の負担が過重にならないよう簡素化すること。なお、経営確立助成金の早期支払い制度を確立すること。

(2)農業生産総合対策の推進

   自給率の低い麦、大豆等の重点的な生産振興のため、排水対策等圃場の改良整備など総合的・作物横断的な生産対策を推進するとともに各地域の実情に応じた地域特産作物の振興、開発を行うこと。

   また、園芸産地の活性化をはかるため産地の実態にあった野菜生産省力機械の開発普及を促進すること。なお、生産資材費の軽減をはかるため農業機械・施設リース事業を拡大すること。

(3)畜産振興総合対策の推進

   酪農および肉用牛経営の安定と健全な発展をはかるため家畜排せつ物の処理の促進、肉用子牛等対策の強化等の畜産振興総合対策を推進すること。特に、口蹄疫等畜産に係る海外伝染病の国内侵入・まん延防止対策等の防疫対策および国産稲わら供給体制の一層の強化をはかること。

(4)国産米の消費拡大

   世界的な食料・環境問題が懸念されるなか、米を中心とした日本型食生活の再構築をめざすとともに農村地域の活性化につながる新たな米消費拡大策の拡充強化をはかること。また、日本の食文化を守り育てていくため米飯を主体とする学校給食制度を確立し、学校給食用米殻の確保のための施策の創設と必要な財源の確保をはかること。

3.WTO農業交渉への対応

  WTO農業交渉に当たっては、農業の有する多面的機能や食料安全保障の重要性に配慮した新たな国際ルールを実現するとともに国内の農業経営に支障の生じる恐れのある関税の引き下げ等は行わないこと。

  また、関税化に移行した米については、稲作農家の経営に影響のないよう現行の関税水準の維持に努めるとともに食料不足の諸外国への援助用に積極的に活用すること。

4.地域農業の体質強化

(1)地域農業の担い手の育成・確保

   意欲ある担い手の確保・育成と新規参入を促進するため農業就業者の所得の確保、社会保障、年金等の身分保障制度を確立すること。特に、安定した農業者年金制度は、若い担い手の確保の面から重要であるため農業者が安心して加入できる制度とすること。

   また、認定農業者への支援を資金面、技術面から強化するとともに女性の農業経営に参画する機会の確保と高齢農業者が生きがいを持って農業活動を行うことができる環境の整備、集落営農に対する支援を強化すること。

(2)農業基盤整備の推進と土地改良負担金の軽減

   生産性の高い地域農業を確立するため、農業基盤整備の推進および土地改良負担金の農家負担の一層の軽減をはかるとともに、受益者負担のない場合は土地改良法に基づく同意を要しないよう法手続きを簡素化すること。 

   また、土地改良事業に係る施設および広域営農団地農道の維持管理費の助成を拡充するとともに、国営かんがい排水事業により建設された施設は国が管理すること。

(3)優良農地の確保

  「食料・農業・農村基本計画」で示された食料自給率の達成に向け、必要な優良農地の確保と有効利用を積極的に推進するとともに地域農業の安定のため株式会社の農地取得に当たっては、土地投機等が行われないよう十分な措置を講じること。

   なお、地域の実態に応じた土地利用をはかるため農業委員会の見直しを進めるとともに地域の土地利用計画の策定等に係る町村長の権限を強化すること。

   また、農業振興地域整備計画の変更については、地域の実情に応じた柔軟な対応が可能となるよう規制を緩和すること。

(4)農林地の保全・管理対策の強化

  耕作放棄農地や放置森林等の増加傾向に対処するため、中長期的視点に立って以下の措置を講じること。

  ア.耕作放棄農地、放置森林等の維持管理等を行う町村、公社、第三セクターへの経費助成の拡充

  イ.相続に伴う農林地の粗放化、細分化防止のための特例措置として耕作及び管理できないものについては、町村又は農協等が買取り管理する制度の創設

  ウ.農地保有合理化法人が農地を取得し、新規参入者や大幅な規模拡大をめざす者に超長期間の貸付けを行う制度の創設

  エ.農業公社、関係法人等の設立並びに耕作農地確保の場合の事務手続きの簡素化

(5)農業経営安定対策の充実

  ア.米・麦・野菜等の農畜産物価格安定制度については、市場原理を重視した価格政策への見直しが進められているが、大幅に価格が下落した場合に農業経営に大きな影響を及ばさないよう所得確保対策および経営安定対策等の施策を拡充すること。

  イ.米の政府買入価格は、地域農業の安定をはかるため地域の生産条件を充分反映したものとすること。

5.農山村地域活性化対策の拡充と生活文化環境等の整備

(1)農山村地域活性化対策の総合的推進

   自然的、経済的に不利な条件下にある農山村地域において若者が定住する条件を整備するためには、農林業を基幹産業とした多様な産業の総合的振興等就業、所得機会の拡大をはかる施策の実施とともに都市と比べて立ち遅れている農山村の道路、集落排水施設、情報関連施設、福祉施設等生活文化環境の整備を促進すること。

(2)中山間地域等直接支払い制度の円滑な推進

   中山間地域等直接支払制度の円滑な推進のため交付金単価を確保するとともに地域指定、集落協定の承認、対象行為の確認等に係わる町村の事務をできるだけ簡素化し、地元町村に過重な負担がかからないようにすること。また、都市住民を含め国民の理解と協力が不可欠であるから中山間地域の果たしている多面的機能の周知をはかること。

(3)農山村と都市との交流の推進

   農山村地域の活性化や都市と農山村の共生をはかるグリーンツーリズムの一層の推進をはかること。

(4)地方財政措置の拡充

   地域の自主性・創意工夫を活かしつつ、地域の活性化をはかるため、「農山漁村関連施策」および「国土保全対策」を拡充すること。

6.地域食品産業振興対策の充実と食品流通の構造改革の推進

(1)地域食品産業振興対策の充実

  ア.多様な消費者ニーズに対応し、地場食品加工産業の育成とふるさと食品の高付加価値化、販路の拡大等をはかること。

  イ.農村地域に立地している農林水産関係加工産業は規模が小さく経営が不安定であるので、その体質強化、経営の安定等をはかるための施策を充実すること。

(2)食品流通の効率化と安全性の確保

  ア.輸送技術、貯蔵技術の改善等による、低コスト・省力化等食品流通の構造改善対策を積極的に推進すること。

  イ.消費者の適正な商品選択、安全性への関心の高まり等に資するため、原産地表示、有機食品の検査認証制度の導入等食品の表示制度の充実強化をはかること。さらに、遺伝子組み替え食品の表示について消費者が不安を抱くことのないよう適切な実施をはかること。

7.農業技術の開発と普及等

  生産性の向上や経営体質の強化等をはかるため地域の特性に応じた農業に関する研究および普及並びに消費者ニーズに応じた新しい食品の加工および開発に関する研究を推進すること。特に、遺伝子組み替え技術を活用して生産した農畜産物については、環境への影響や安全性の確保に十分配慮すること。