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消費税は地方へ

印刷用ページを表示する 掲載日:2006年6月5日

エッセイスト・画家 玉村 豊男 (第2562号・平成18年6月5日)

政権の交代に伴って消費税の値上げが取り沙汰されている。

消費税の増税に関しては、まずそのまえに徹底した歳出の削減、なかんずく政府と官僚システムによる無駄遣いを制度的に改める必要があることは言を俟たないが、おおかたの国民は、それがいずれ必要になることは理解しているものと思われる。

私は、消費税はすべて地方税にするべきだと思っている。そして、かならずしも全国一律ではなく、県ごとに、あるいは地域ごとに、異なった税率にしてもよいのではないか、とも考えている。

もちろん技術的な問題は多々あるだろうが、過疎に悩む町村は税率を低くする。豊かな都市は、税率を上げる。そうすれば東京から逃げ出して地方に移住する人が出てくるかもしれないし、消費税の安い町村の商店街は遠来の客でにぎわうに違いない。……夢物語、だろうか?

国内の特定の地域を税率の軽減などで優遇する政策は、世界的には決して珍しいものではない。地方の疲弊が叫ばれ、地方への財源移譲が求められ、存続の限界に達そうとしている集落が増えている現在の状況を見れば、日本で実行して悪いとは思われない。

平等は大切だが、ハンデをつけて力を平均化する思想もある。選挙権だって、人口の比率に応じて平等に、というばかりでなく、一票の格差があってもよいではないか。過疎の地域では一票が重く、住民は少数でもその意見は大きく国政に反映される。逆に大都会では一票が軽くなるが、それを嫌うなら地方へ移住する選択も可能である。

消費税率と、一票の重さで住む地域を選ぶ。

もしもそんなことができたなら、地方のとくに農山漁村での人口減を、少しは食い止められるかもしれない……。