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若者との縁が育てる「第2のふるさと」

印刷用ページを表示する 掲載日:2026年10月5日更新

開花期だけでなく通年型の来訪をめざして
▲開花期だけでなく通年型の来訪をめざして(静岡県河津町)
〔写真提供:梅川 智也氏〕

國學院大學 観光まちづくり学部長・教授 梅川 智也(第3375号 令和8年10月5日)​

​ 人口減少が進む地方にとって、若い世代との関係をいかに築いていくかは、これからの地域づくりを考えるうえで重要な課題である。一方、大都市の大学で学ぶ学生にとっても、地方の暮らしや仕事に深く触れ、地域の人々と継続的な関係を結ぶ機会は決して多くない。両者をつなぐ仕組みとして、いま改めて注目したいのが、地域をフィールドとするインターンシップやPBL(Project Based Learning)である。

 こうした動きは政策面でも広がっている。文部科学省は今年度、「都市と地方の連携を通じた国内留学等の促進事業」を開始し、都市部の大学生が地方で学ぶ機会を広げようとしている。総務省の「ふるさとミライカレッジ」や観光庁の「第2のふるさとづくりプロジェクト」も、定住だけを最終目標とせず、地域と継続的に関わる人々を増やす試みといえる。

 大学教育でも、地域に一定期間身を置き、そこで働き、暮らし、人と出会う学びが重視されている。私が所属する國學院大學観光まちづくり学部でも、学生が2~3週間地域に滞在し、自治体や観光協会、企業などの仕事に携わる「観光まちづくりインターンシップ」を行っている。重要なのは、単なる職業体験に終わらせず、地域の日常に身を置くことで、その土地の課題や魅力を自分自身で考えることにある。

 さらにこの九月からは、私のゼミでも静岡県河津町を舞台に、観光庁の「第2のふるさとづくりプロジェクト」の一環としてPBLに取り組む。河津町の事業には「自らつくる、わたしの居場所」という言葉が掲げられている。学生たちにとって河津が、授業が終わった後にも「あの人にまた会いたい」「あの地域のことが気になる」と思える場所になれば、それは教育の成果であると同時に、地域にとっても新しい財産になるだろう。

 もちろん、学生を地域に派遣すれば、それだけで関係人口が生まれるわけではない。地域側にも、若者を一時的な労働力や課題解決の担い手としてだけ捉えず、ともに地域の時間を過ごす存在として迎える姿勢が求められる。すぐに成果を求めるのではなく、十年後にもその地域を気に掛けてくれる人との縁を育てる。そうした長い時間軸こそが大切なのではないか。

 地方創生の成果を「何人移住したか」だけで測る時代ではない。何人の若者が地域を知り、再び訪れ、仕事や研究、あるいは人生の節目にその地域を思い出してくれるようになったのか。学生は地方へ行き、やがて都市へ戻る。しかし、そこで生まれた関係は決して失われない。

 都市と地方の小さな往復を全国に増やしていくこと、その中から新しい縁が生まれる。その縁を一過性のものにせず、時間をかけて育てていく。その先に、それぞれの人にとっての「第2のふるさと」が生まれていくのではないだろうか。大学と地域には、そのきっかけをつくる役割がある。