法政大学現代福祉学部教授 図司 直也(第3344号 令和7年12月22日)
11月下旬に、全国過疎問題シンポジウムが鳥取県で開催され、今年度の過疎地域持続的発展優良事例として、8つの団体が表彰された。私が担当した分科会では、秋田県能代市、新潟県佐渡市、岐阜県白川町、福岡県香春町の4団体に実践報告を頂いた。開始前から登壇者の皆さんがお互いの地元を紹介し合って盛り上がり、地域で活動する楽しさに満ちていたのが印象的であった。
この明るさの源はどこから生まれるのか。各地の報告を通して、地域社会の様々な変化をしなやかに受け止める姿勢ではないかと私なりに考えた。能代市の自治組織では、代々受け継がれた地域の森林資源をフル活用し、みんなに出番を生み出している。香春町の農村RMOでは、学校の統廃合というマイナス要素を、地域の未来を考えるきっかけと捉え、住民間での対話を深めていた。佐渡では、地域で途絶えた盆踊りをUターン者が復活させようとクラウドファンディングを活用したことから、地域の関わりしろが内と外の両面に広がっている。白川町では、地域を支える多様な仕事をマルチワークとして提案しようと、「地域の人事部」にあたる地域づくり事業協同組合を立ち上げた。
こうして動き出した有志は、地域にさまざまなものを自ら生み出し、その対象も、食堂や駄菓子屋、新聞、ビールから、ご当地ソングやトレーディングカード、電気に至るまで実に幅広い。仲間がいれば何でも作り出せる自信に満ちあふれており、そこに地域の若手や小中高校生も惹き寄せられ、参加の場も広がりを見せる。
地方創生2・0の目標に、「若者・女性にも選ばれる地方」がうたわれているが、そこに何が求められるのか。今回表彰された現場では、みんなが「心理的安全性」が保てる場を新たに創り出すことで、そこに多彩な顔ぶれが自然と呼び込まれ、老若男女がにぎやかに暮らせる地域に転じている。このような、みんなの自治を取り戻す発想こそ、地方創生に求められよう。