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公務員のDNA変革

印刷用ページを表示する 掲載日:2001年4月9日

福井県立大学教授 岡崎 昌之 (第2352号・平成13年4月9日)

公務員制度が抜本的に変わろうとしている。平成12年12月に閣議決定された「行政改革大綱」でも「公務員に対する国民の厳しい批判に応える一方、身分保障に安住することなく、公務員が持てる能力を最大限に発揮し、強い使命感を持って国・地方が抱える内外の諸課題に挑戦することにより、公務員に対する国民の信頼を確保するため、公務員制度の抜本的改革を行う」としている。

地方公務員法における自治体職員の身分保障は、首長や議会の交代や変化とは直接関係なく、職員が安心して職務に専念できることを可能にしている。その背景と基本的な期待は、安心が職員の能力発揮と課題に対する新しい挑戦を生みだすところにある。しかし現状は、その安心が安逸と安住を生みだし、地域と住民にきちんと目を向けた意欲的な仕事から遠ざけている場合が多い。

町村からすればとてつもなく巨大な自治体である福岡市で、自治体職員のDNA(遺伝子)を変えることから、職員の能力と意欲を高めようという、ユニークな取り組みが始まっている。福岡市の都市経営に、イノベーション(改革)的手法を導入し、市民の参画を得ながら、行政経営を行うシステムを構築しようということである。そのスタートとして職員の改革意欲を高めるDNA運動に取り組んでいる。“出来ない理由をさがすのではなく、D「できる」から始めよう、N「納得できる」仕事をしよう、A「遊び心」を忘れずに”、をモットーに、現場から改革を進めようとしている。

初年度の総決算として平成13年2月に開催されたのが、博多にちなんだ「DNAどんたく」であった。職員グループの優れた取り組みを発掘、共有し、褒め称えようと、21チームが全国からの参加者の前で活動内容を発表した。交通局や市民病院など現場の職員の生きの良さが目立った。このイベントを通じて、市民と地域に直接ふれあうなかから意識を変えていこう、職員の拠り所は国や県ではなく、市民でしかないという意識の芽生えが生まれ始めた。