ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > コラム・論説 > 小さな村g7サミット

小さな村g7サミット

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年9月26日

ジャーナリスト 松本 克夫 (第2974号・平成28年9月26日)

5月のG7(主要7カ国)首脳による伊勢志摩サミットの直前に、「小さな村g7サミット」が山梨県丹波山村で開かれたのを覚えているだろうか。 各ブロックで人口規模が一番小さい7村の村長によるサミットである。参加したのは、丹波山村のほか、音威子府村(北海道)、桧枝岐村(福島県)、北山村(和歌山県)、新庄村(岡山県)、 大川村(高知県)、五木村(熊本県)である。ただし、一番小さな村といっても、島は除いている。正しくは、小さな山村サミットと称した方がいいかもしれない。

G7に合わせてg7と名乗ったのは一種の余興だが、鬼に挑む一寸法師のような心意気を示したといえないこともない。 g7サミットでは、「100年以上も続いてきた小さな村が100年先も生き残っていくために」「里山暮らしの素晴らしさを情報発信し」「積極的に移住促進のための取組を行う」という共同宣言を採択した。 小さな村だからといって、消滅してなるものかという決意の表明である。小さいがゆえに抱える悩みは多いが、ここでは逆に小さいことを売り物にした形である。

このg7サミットを仕掛けたのは、丹波山村の地域おこし協力隊員の小村幸司さんである。同村に移住してから3年目だが、g7サミットを思いついたのは移住してから間もない時期である。 小さな村同士で交流すれば刺激になるし、G7に合わせて7つの村が結集すれば全国に向けた発信力も増す。絶好の企画と思ったが、はやる気持ちを抑え、休暇をとって候補となる村を訪ね歩き、 ほぼいけるという感触を得てから提案した。

村おこしに知恵を絞るのは地域おこし協力隊の務めだが、村連合のようなものまで発案するようになったのは驚きだ。もし丹波山村が新入りのよそ者が何をいうかと一蹴してしまえば、 ユニークな発想も芽を摘まれていただろう。よそ者には思いもよらぬ発想がある。町や村もそれを生かす心構えが要る。