千葉市男女共同参画センター名誉館長・NHK番組キャスター 加賀美 幸子
(第2873号・平成26年3月17日)
若い頃は、外から促されて勉強することが多いけれど、年を重ねると、自分の内側から、勉強をしたい・してみたい…という欲求が強くなるような気がする。
いままで、仕事や子育てに追われ、忙しく走り続けてきたけれど、又、時代の風の中で、その機会がなかったけれど、残り少ない今こそ、人生せっかく生まれてきたのだから、 勉強してみたい…という声を周りから多く聞く。
帯津良一先生(ホリスティック医学の権威)との対談で「…今まで出来なかった、心残りの勉強をしてみたいのですが、この年では…」との私の質問に、「…全ては考え方次第。死んでからも、 ずっと勉強するつもりでいれば、いつから始めても遅いなんてことはないですよ」と。
本当に、「今の世」の続きで「あの世でも、どこでも」、続けるつもりでいれば、いつからでも、遅くはないのかもしれない…と、以後、嬉しいゆとりとなった。
『橋のない川』(800万部を超えるベストセラー。差別と闘いながらたくましく成長していく子供たちの姿を描いた長編小説)の作者、住井すゑさんは、80歳の時には、自宅を開放して、宇宙からいじめまで、 さまざまなテーマで地域の人々と語り合った。
「理想社会がたとえ、1000年、1億年先であっても、今日一日はそれにつながっているということ。だから今日は無意味ではないわけですね」と人々に伝え、亡くなる95歳まで書き続け、 机の上には「橋のない川・第8部」と書かれた原稿が残されていた。
着実に人々を導く医学者と作家、お二人のメッセージは、胸に響く。しかも明るい力で後押しされる実感がある。
いくつになろうが、いつからでも遅くはない。精神論でなくまさに実践論、心から納得できる「生き方のメッセージ」を頂いた。