フリーアナウンサー 青山 佳世(第2956号・平成28年4月11日)
昨年、「花見も国際的になった」とコラムを書いてから早一年、今年は益々国際化が進んで花ござを敷いて花見を楽しむ外国人の姿が見られるようになりました。 いよいよ日本人は穴場を探して行くことになります。
インバウンドの次期目標は4,000万人。誘客のターゲットも量から質へと変わろうとしています。日本の文化や魅力を本当に理解してくれる多くの人たちを迎えるべく期待も膨らみます。 誘う場所は地方へ。これからが、じっくり魅力づくりをしてきた地域の出番です。
大型観光バスで移動するのではなく、少人数できめ細かく地域を見て歩くような観光となると、移動手段が必要です。私が以前取材した時に出会った魅力的な地域は、 バスは一日に数本あるかないか・・交通の不便なエリアにあることが多かったです。車がないと移動できないため、取材の時には、地元の青年たちが送り迎えや案内をしてくれました。しかし訪れる人が増えてくると、 ボランティアに頼っているわけにはいきません。
そんな中で注目されているのは、海外で大きく躍進しているライドシェアの考え方です。日本では白タクは禁止されているため、素人が有償で運送することに関しては議論のあるところで、 トラブルも懸念されます。現に世界各地で問題も起きています。
ただタクシーやコミュニティバスも運営できない地域にとっては、移動手段として期待もされます。お互い助け合いながら然るべく料金を支払う・・。 知り合いでも無償で運転をお願いするには気兼ねがありますが、有償であれば頼むほうも気持ちの負担なくお願いできます。今まで自動車有償旅客運送として自治体やNPO法人等において行われてきましたが、 この3月、さらに観光客の運送について制度化されることになりました。対応策をしっかりとって導入してほしいものです。
こうしたライドシェアの波に危機感を覚えるタクシー業界が、料金・接客・サービス向上に取り組む動きもでてきました。これは利用客にとって歓迎すべきことです。
住んでいる人にも、訪れる観光客のためにも自由に移動する手段を整えて、多くの人に地域の魅力を知ってもらい、地域の元気につないでほしいものです。