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環境の激変に地域はどのように対応すべきか

印刷用ページを表示する 掲載日:2025年9月15日更新

事業構想大学院大学教授 重藤 さわ子(第3333号 令和7年9月15日)

 令和7年度も異常な暑さの夏である。それだけではなく、今年は例年とは異なる梅雨の入りや明けの動向を示し、各地で水不足が深刻化する一方、局所的な豪雨にも見舞われている。このような異常気象の一因は二酸化炭素の排出量増加による地球温暖化で、日本の夏(6~8月)の平均気温も年平均気温も、世界平均よりもずいぶん早い速度で上がっているそうだ。そして、日本近海の海面上昇も世界平均水温上昇に比べて約2倍の速度で温暖化していることも豪雨、また冬には豪雪をもたらす原因になっている。

 このような異常気象の頻発に伴い、自然災害のリスクが高まっているのだが、問題は、これまでは「異常」であった気象が「普通」の時代に突入してしまった、ということである。地域においてもその前提で計画づくりや取組の推進をしていかねばならない。

 かつて、地域の身近な環境問題は公害や環境破壊によるものであった。しかしその後、地球温暖化や生物多様性の損失などの地球規模の問題にも地域レベルで取り組む必要性が明らかになった。ただし、問題が深刻化している背景には、我々の暮らしや経済活動の在り方自体が起因しているために、その対策は、社会・経済面でも一体的に取り組むべきものであり、その取組結果は、当然今後の我々の暮らしや経済を大きく左右する。

 だからこそ、それらの対策は市民や事業者に無理な我慢や不利益を強いるものであってはならないし、暮らしや経済活動を環境共生型に変え、その変化を通じ、高い生活の質を実現するという、全関与者のメリットの享受を目標に掲げながら進めていく必要がある。

 国連事務局総長のアントニオ・グテーレスが「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰の時代が来た」と警告したのは2年前の2023年であった。環境変化の影響を受けやすい一次産業を多く有する町村ほど、迫りくる危機を強く感じておられるはずである。そのような地域こそ、本気の気候変動対策を展開し地域創生につなげていただければ、と今、東京都のある自治体の環境基本計画の策定支援をしながら、強く思っている。