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まちづくりの宝箱Ⅱ

印刷用ページを表示する 掲載日:2025年1月13日更新

作新学院大学名誉教授 橋立 達夫(第3306号 令和7年1月13日)

 12年前に、本欄で『まちづくりの宝箱』と題し、全国で出会った素晴らしいまちづくりを紹介した(*1)。その後もまちづくりの世界は驚くほど広汎に展開し、地域おこし協力隊や災害復興ボランティア、社会起業家の活躍も目覚ましい。前回の訂正(*2)補遺を含め、まとめておきたい。

 長浜市の「黒壁」。新潟県川西町(現十日町市)の「千年の湯と賑わい空間」。八戸市の「みろく横丁」。村上市の「黒塀通り」。熱海市の「温泉玉手箱」と「ミステリーツアー」。

 北海道東川町の「町立日本語学校」と移住定住支援策「美しく生きる」。山口県阿武町の「1/4works」、「まちの縁側」、「森里海新たな仕事創出」。徳島県神山町の「起業家育成プログラム」。山口県周防大島町を中心に活動する「株式会社ジブンノオト」。大分県安心院町(現宇佐市)の「農泊」を中心としたグリーンツーリズム。岡山県西粟倉村の「ローカルベンチャー育成」。うきは市の「うきはの宝株式会社」。南砺市の「社会に学ぶ~14歳の挑戦」。

 岡山県日生町(現備前市)の「海のゆりかごアマモの森再生」。島根県海士町の「町全体のブランド化」、「島前高校魅力化プロジェクト」と「島留学」。萩市で衰退する漁業を振興するため、市場を通さない魚の直売システムを生み出した萩大島船団丸(*3)。泉佐野市と弘前市は、農業の担い手不足、シングルマザーの生活支援という共通の課題対策として、季節労働を活かして相互を結ぶ就労支援施策を展開している。

 岡山県新庄村の換金性のない地域通貨「もちん」。北海道栗山町の「ケアラー支援条例」。庄原市には、高齢者福祉施設、農村レストラン、保育所、そして農家を、優しい心と地域通貨を介して結び、『みんなが幸せになる人の輪』が広がっている地域がある(*4)。雲南市では「地域自主組織」を立ち上げ「大人チャレンジ」、「若者チャレンジ」、「子どもチャレンジ」により持続可能な集落活性化と地域への誇り・愛着を醸成。

 いずれも地域の創意と力が結実した珠玉の取組である。そのまま他地域で応用展開することは困難だが、発想の広がりと核にある心を学びたい。

*1 町村週報 第2774号 2013年9月26日

*2 「工芸運動」は、福島県三島町

*3 日本テレビのドラマ「ファーストペンギン」のモデルとなった坪内知佳さん(株式会社GHIBLI)の活躍

*4 藻谷浩介・NHK広島取材班「里山資本主義」2013年 角川書店 第4章