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ふるさとづくり大賞

印刷用ページを表示する 掲載日:2023年4月24日

國學院大學教授​ 西村 幸夫(第3238号 令和5年4月24日)

​ 例年のことではあるが今年も2月にふるさとづくり大賞の授賞式が東京で行われた。ふるさとづくり大賞は「ふるさとづくりへの情熱や想いを高め、豊かで活力ある地域社会の構築を図ることを目的」(総務省HPより)として、個人もしくは団体を表彰するもので、自治省から総務省に引き継がれた賞で、今年で40年目を迎えるという歴史のある賞である。

 今年度の最優秀賞と優秀賞には、都会から遠く離れた小さな集落で仲間と活動している魅力的な個人や団体が多く選ばれた。最優秀賞(内閣総理大臣賞)はふるさと甑島(鹿児島県薩摩川内市)で「集落文化」を活かして、商品開発や古民家再生、移住定住促進など多彩な仕事を手掛ける会社を興し、18人の雇用を創出している山下賢太氏。

 優秀賞(総務大臣表彰)は戸馳島(熊本県宇城市)を中心にイノシシの害から地域を守るためにIT技術を駆使して年間1000頭ものイノシシを駆除し、さらにジビエにまでしている「くまもと☆農家ハンター」の皆さん、そして白山のふもと、石徹白(岐阜県郡上市)の小さな集落で小水力発電や伝統的な直線裁ちの衣料の再興などをとおして50人ほどの移住者を生み出した平野彰秀氏。平野氏自身も移住者である。

 さらに、「よこらぼ」という住民の知恵を活かしたまちおこしの多様なプロジェクトを実施している埼玉県横瀬町にも優秀賞が贈られた。補助金に頼ることなく、知恵と官民のコラボで課題解決を図っている創造的な取り組みである。5年間で100件以上の取り組みを応援している。

 いずれの取り組みも小さなまちや集落が拠点となっており、個々人の想いが形となった営みである。地に足が着いたこうした取り組みが、地域を越えて多くの人々の共感を得るような時代になってきた。ふるさとづくり大賞の受賞者の皆さんの今後のさらなる発展を応援したい。