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農山漁村地域社会の懐の深さ-反脆弱性-

印刷用ページを表示する 掲載日:2021年3月29日

作新学院大学名誉教授・とちぎ協働デザインリーグ理事 橋立 達夫(第3154号 令和3年3月29日)

新型コロナ禍の終息見通しが立たない社会の中で、様々な分野から、このような事態を招いてしまったことへの反省、あるいは今後の災厄を防ぐことの手がかりとしての提言がなされている。その代表的なものは、世界的なベストセラー『ブラック・スワン』で有名なタレブ博士の提唱する「反脆弱性(anti-fragile)」である。「反脆弱性とは不確実性や無秩序を力に変える能力」とされている。心理学用語の「レジリエンス(resilience)も、ウィズコロナの社会に必要な能力として盛んに用いられる。「レジリエンスとは、困難で脅威を与える状況にもかかわらず、うまく適応する過程や能力、および適応の結果のこと」(最新心理学辞典)とされている。主として工学の世界で用いられている「リダンダンシー(redundancy)」も、同様の意味を持つ。リダンダンシーは「冗長性」と訳され、「無駄と思われている部分が有事に役に立つ」ということだが、積極的な意味で「弾力性」と言い換えてもよい。いずれの言葉も、「個人から企業や行政などの組織・システムにいたるまで、社会のあらゆるレベルにおいて備えておくべきリスク対応能力・危機管理能力」(msnニュースTABI LABO編集部)として用いられている。