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普通の暮らしはどんなかたち

印刷用ページを表示する 掲載日:2022年7月4日

フリーアナウンサー 青山 佳世(第3205号 令和4年7月4日)

コロナは収束するかのようにも見え、国内外の動きが活発化する中でまたコロナ感染が増えるかもしれないという霧の中にいながらも、暮らしや経済を通常に戻す方向に動いています。

「ふつう」に戻るとは、一体何が普通だったのかーわずか2年のうちによく思い出せなくなってしまいました。

待ちに待った「都民割」の商品が6月10日にスタート。都民にもようやく恩恵が受けられる時がきたかと販売開始と同時にスマホで予約をとることにしました。ところがサイトはパンクして全くつながらず、電話もつながらず、第1弾はあっという間に完売で終了となりました。期待に反して一部の人たちだけしか恩恵を受けることができなかったのです。

最近登場する商品のほとんどはITを駆使しないと予約も割引も受けられません。便利な「MAAS」と呼ばれ、交通や観光等の情報を一元的に提供する等の次世代のサービスもアプリを活用できないと恩恵は受けられません。これからの時代はITを使いこなすことが必須ではありますが、その環境に入ることのできない人たちも少なからずいます。DX(デジタルトランスフォーメーション)による効率化を進める中で、「誰1人取り残さない」きめ細かな対応を実現してほしいものです。

7月には県民割を拡大した「全国旅行支援」が始まります。関係事業者や自治体、また長期間移動を制限された個人も大きな期待を寄せています。この反応の中には、恩恵を受けたい、今まで行動を抑えてきた分、今こそ!という気持ちとともに、まもなく外国人観光客が数年前のように大勢訪れることが予想される中、我が国をゆっくり楽しむことができるのはこの数か月しかないと漠然と感じているからではないでしょうか。コロナ禍の2年は不自由を感じながらも、日本ならではの魅力を満喫し、おもてなしを思い出させてくれました。

地域の方々は、ただ観光客が増えて儲かればいいというだけでなく持続可能な自治体の活力に結びつくようなお迎えの仕方や魅力づくりを是非考えてほしいものです。

観光を応援する際には、公共交通機関を利用することも大きなテーマです。地球温暖化防止の観点からマイカー抑制に取り組んで何年になるでしょう。公共交通機関利用へシフトさせるための地道な努力の結果、ようやく鉄道やバスへの利用へ進んできた最中、コロナ禍によって密を避けて移動するために車の移動へあっという間に戻ってしまいました。ことに中山間部や地方部での高齢化によって、自分で運転ができなくなった時にも移動ができるようにするためにも公共交通機関の充実は欠かすことができません。

移動も「誰1人取り残さない」という視点で取り組んでいただきたいものです。