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西丹沢の山々に抱かれた森林と清流のまち

印刷用ページを表示する 掲載日:2018年2月26日更新

神奈川県山北町長 顔写真神奈川県山北町長 湯川 裕司

山北町は、東京から西へ約80km、神奈川県の西部に位置し、県内で唯一、静岡県と山梨県に隣接する県境の町です。総面積は224.61平方キロメートル、横浜市、相模原市に次いで県内で3番目の広さを有し、その約9割が丹沢大山国定公園や県立自然公園などを含む山岳地帯で、四季折々に表情を変える西丹沢のやまなみや、県民の水がめである三保ダム・丹沢湖、富士山と丹沢山地を源流とする酒匂川などの清流に囲まれた、豊かな自然に恵まれた町です。

本町の歴史は古く、南北朝時代が起源と伝えられる国指定重要無形民俗文化財「山北のお峯入り」や、県指定無形民俗文化財「世附(よづく)の百万遍念仏」、「室生神社の流鏑馬」といった貴重な民俗芸能が伝承されるなど、豊かな歴史が育む文化の町でもあります。

町内には、信玄公の隠し湯と伝えられている「中川温泉」や日本の滝百選「洒水の滝」、平安時代末期に築城された「河村城跡」などの観光資源を有するとともに、「やまきた桜まつり」や「カヌーマラソンIN丹沢湖」、「丹沢湖花火大会」、「西丹沢もみじ祭り」、「丹沢湖ハーフマラソン大会」など、1年を通じて様々なイベントが開催され、首都圏の観光・レクリエーションの場として多くの観光客が訪れています。

また、水源の町として、川崎市をはじめとした下流地域との交流や、「森林セラピー基地」の認定を受けて体験ツアーを行うことで、森林の持つ癒し効果を求めて本町を訪れる人は増えており、最近では、丹沢の秘境と呼ばれる「ユーシン渓谷」で、水面が美しい青色に輝く「ユーシンブルー」がSNSで人気を集め、このほど商標登録を受けたところです。

基幹産業である農業は、銘茶「足柄茶」をはじめとして、みかんやキウイフルーツなどが生産され、最近では遊休農地を活用したオリーブの栽培にも取り組んでいます。

【D52奇跡の復活】

明治22年に東海道本線が開通し、「山北駅」は箱根越えの要衝として発展し、大正から昭和初期の最盛期には「鉄道のまち」と呼ばれ大変栄えていました。

本町では、昭和43年まで御殿場線で活躍していた蒸気機関車「D52―70号機(通称デゴニ)」を山北鉄道公園に静態保存していましたが、地方創生加速化交付金を活用し、圧縮空気を動力源として48年ぶりに動態化させ、平成28年の鉄道の日にイベントを開催しました。全国に7両現存するデゴニのうち、走行可能なものは本町のデゴニだけということで、当日は全国各地より鉄道ファンが訪れ大変な賑わいとなりました。平成29年には鉄道関係の貴重な品々を展示した「鉄道資料館」をオープンするなど、町を挙げて鉄道遺産を活用したまちづくりを推進しています。

【本町初の私立高校誕生】

人口減少・少子高齢化は本町においても例外ではなく、統廃合によって閉校した学校の跡地活用は大きな課題となっていましたが、平成29年、国より構造改革特別区域「教育特区」の認定を受け、本町が設置を認可した広域通信制「鹿島山北高等学校」が開校しました。今後、町内宿泊施設の利用や地元住民の雇用による経済効果、地元との交流などによる地域活性化に大変期待をしているところです。

【念願のスマートIC設置】

本町には東名高速道路が通過するだけでICがなく、平成32年度に開通予定の新東名高速道路においてもICの設置予定が無かったため、これまでスマートICの実現化に向けた取組を進めてきましたが、平成26年度に計画が新規採択・連結許可され、「(仮称)山北スマートIC」の事業化が決定しました。運用形態は東京方面乗り降り限定のハーフICで、首都圏からのアクセス性が飛躍的に向上し、観光交流人口の増加や企業活動の活性化などに大変期待を寄せています。

近年、大型商業店舗や企業の進出、新東名高速道路の建設など、本町を取り巻く環境は大きく変化しようとしていますが、今後も昔からそこにある資源を大切にしつつ、新しい動きとの相乗効果により「みんなでつくる 魅力あふれる元気なまち やまきた」を目指してまいります。