静岡県川根本町長 鈴木 敏夫
川根本町は、平成17年に中川根町と本川根町が合併し誕生した町で、静岡県の中央部、南アルプスを源にした大井川が町を南北に流れ、県下第3位の総面積496.72平方キロメートル有し、その90%を山林が占める『森と緑と水の町』です。
当町は、本州で唯一の「原生自然環境保全地域」である光岳(てかりだけ)を有しているほか、平成25年には、茶草場農法により「世界農業遺産」に、平成26年には、南アルプス周辺の町として、静岡・長野・山梨の10市町と共に「ユネスコ・エコパーク」に町の全域が登録され、平成27 年には、「日本で最も美しい村連合」への加入を果たすなど、その豊かな自然環境を活かしたまちづくりを推進している町です。
当町は古くから農業が盛んで、中でも川面から立ち上る朝霧に代表される豊かな自然環境に育まれ、先人からの弛まぬ努力により生産される「川根茶」は、日本三大銘茶のひとつとして古くから、地域を支える主産業となっております。
また、農業と並ぶ町の主産業である観光に関しては、SLの動態保存や、近年では「きかんしゃトーマス号」の運行で有名な大井川鐵道や、日本で唯一のアプト式鉄道路線であり、路線に日本の絶景百選として紹介される機会の多い「奥大井湖上駅」がある「南アルプスあぷとライン」や、世界的旅行情報サイトのトリップアドバイザーにより紹介された「夢の吊り橋」を有する「寸又峡温泉」や「白沢温泉」、「接岨峡温泉」、「千頭温泉」の泉質の異なる4カ所の温泉を活かした観光産業が展開されております。
私は、現在2期目の町政を担わせていただいておりますが、「心がふれあう感動のまちづくり」を町政運営の軸に、「安心して住めるまちづくり」「農林業が元気で豊かな経験・自然を活かしたまちづくり」「交流とふれあいのまちづくり」の三本の柱のもと、町政運営を進めてまいりました。
なかでも、町内全域に整備した光回線(超高速ブロードバンド網)を活用し、「サテライトオフィス」の誘致を推進しており、外資系企業の誘致を実現した所であり、今後も更なる誘致等に向け取り組んでいるところです。
また、過疎化の進行により生徒数減少が続く、町内の唯一の高校である「県立川根高校」を町としても積極的に支援すべく、学区外からの生徒受け入れを推進する「川根留学生」制度を高校と共に展開しており、留学生宿舎の整備等を進め、平成30年度からは県下の普通高校では初となる「全国公募」を実施する運びとなっております。
更に、小中学校教育においてもICT教育の推進に取り組んでおり、生徒全員にタブレットを配備するとともに、教員と共にICT教育を充実させていくために「指導員」を配置し川根本町型ICT教育の実践を進めております。
ICT技術を活用し、様々な分野での展開が重要であると考えており、町内外への「町の魅力、情報発信」を今後も推進していきたいと考えております。
これまでの4年間で確立してきたこれらの土台を固めていくことが私の責務であり、そのためにも「自らの町に誇りをもち生活できること」、「町を愛する人財の育成に取り組むこと」、「全ての町民が活躍できる場を作りだすこと」に注力していく所存です。そして、中山間地域の小さな町が抱えるハンディを魅力へと変化させるまちづくりを進めていきたいと考えております。