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ゆず産地化を核とした地方創生

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年10月2日更新

高知県三原村長 田野 正利

 

三原村は、清流四万十川(四万十市)・黒潮流れる足摺岬(土佐清水市)・魚類生息数日本一の柏島(大月町)・だるま夕日(宿毛市)の風光明媚な観光地に囲まれた標高120m前後の天空の里で、昼夜の温度差ときれいな水に育まれた三原米は自慢の逸品です。

最盛期の人口は3、639名で、当時、私の同級生は100名程おりましたが、今後の人口予測では、現在の1,611名が平成72年度には631名に減少するシナリオが想定されたことから、早急な対応策が必要となっています。

三原村の総合計画ビジョンは、「親・子・孫」の三世代が安心して暮らせる村づくりです。この目標に向かい、平成17年度から特区許可を受けて製造を開始した「どぶろく」の評価は高く、毎年11月3日に開催される「どぶろく農林文化祭」には村の人口を遙かに超える、約5,000名が訪れ、どぶろくはもとより、昔ながらの田舎料理なども味わって頂き、賑やかに開催しています。

また、当村は中山間地域ではありますが農地整備率が100%で、高知県産業振興計画に併せて県の特産品であるゆずの産地化と、国の推進する小さな拠点づくり構想の集落活動センターを村民主導で推進しています。

ゆずは整備された農地に鳥獣防止柵を設置して新植し、乗用草刈機械で除草するなど新たな栽培方法を試み、20年先を見据えた産地育成に取り組んでいます。運営主体は、村が全額出資した(公財)三原村農業公社が村の代行者として村民から農地を集積し、ゆずの新植並びに肥培管理を行い、新規就農者に一定面積を貸与するなど新たな施策を構築するとともに、ゆずの集出荷施設(選果・搾汁・加工)を整備し、安心して就農できる環境を、地方公共団体自らが行う、全国的にも珍しい取組だと評価を頂いております。

三原村集落活動センター「やまびこ」は、県の政策に則り、県下で最初の1村1組織化(13集落・1地域)で立ち上げ、自分たちのふるさとは自分たちで守る精神で、住民が主体となり、元気に、そして楽しく住み続けられる仕組みづくりに取り組んでいます。

組織は「企画調整部」「店舗部」「福祉支援部」「特産品販売促進部」「移住促進部」「生産部」の6部門で構成され、中山間地域それぞれの各種課題に住民が解決策を模索しながら活動しています。特に「店舗部」では、各集落の女性たちが村の食材を使った日替わり定食を提供し、村内外から好評を頂いており、参加者全員、大変元気に活動しています。

また、各種取組を進める中で、専門分野の情報やアドバイスが必要となり、産学官連携を進め、企業の専門技術や大学の専門知識を融合し、新しい中山間地域での活性化を進め、三原村のビジョン達成を目指します。しかしながら、簡単に人口が増加するものではなく、関係者が一丸となり一次産業の所得向上や雇用の創出を進めることで、新たな展開を期待しております。

以上の取組に加えて、国が目指している観光インバウンドへも参画し、修学旅行の受け入れや体験農業、四国八十八箇所巡りのお遍路さんの宿場として、「また訪れたい故郷」という、記憶に残る村づくりを進めてまいります。

「遠くて不便」が故に残った、豊かな自然環境と、昔ながらの自然に逆らわない日常生活。三原村には、かつてどこにでもあった日本の原風景が残っています。

是非とも三原村にお越し頂き、私たちが目指す地方創生を体験して頂ければ幸いです。

心よりお待ちしております。