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皆が主役!キラリとひかるまちづくり

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年8月21日

滋賀県多賀町長 久保 久良

 

多賀町は、昭和30年4月1日に旧多賀町、大滝村、脇ケ畑村が合併し、今年で町制62年を迎えました。

滋賀県の東北部に位置する本町は、人口約7,000人余、面積135.77平方キロメートル、うち森林が85%を占めており、霊仙山を含む鈴鹿山系、その山々を源とする芹川や犬上川の清流など、豊かな自然が四季折々の風景として住民の日常生活にとけ込み、自然を享受しつつ、歴史・伝統・文化を築きあげてきました。

年間160万人の参拝客を有する多賀大社をはじめ、町は多くの名所・歴史資源を有し、県指定天然記念物である「河内の風穴」や山を丸ごと公園にした「高取山ふれあい公園」など、歴史と自然の両方を満喫できるのも魅力の1つです。また、平成5年には、約180万年前のアケボノゾウの全身骨格の化石が発見されたことでも話題になりました。

私は、平成20年3月に町政をお預かりし、平成23年に策定した第5次多賀町総合計画に掲げる「自然と歴史・文化に包まれた キラリとひかるまち」を将来都市像として現在3期目を務めております。

就任後、ひとつの柱として一貫して、「子育て・教育熱心町」を掲げ施策を推進しております。県下初の小中学生の医療費無料化をはじめ、粉ミルク・紙おむつ助成や固定資産税相当分を助成する若者定住支援などの子育て世代の経済的負担の軽減、また、子育て支援センターや学童保育施設の整備、ICT教育の導入・英語教育の強化のほか、直近では、山間地域での認定こども園の開園に着手し、子どもたちが健やかに大きく育つように取組を進めているところです。全国的に人口減少と言われる中、本町においては、高齢化率が高いこともあり自然減幅が大きく、社会増減を加味しても、人口増加にまでは至っていないことも事実ですが、このような取組が徐々に浸透し、民間による宅地開発や子育て世代の転入も増えていることから、一定の効果が出ていると感じております。

もうひとつの柱は、森林資源を活かした産業の活性化です。本町の大部分を占める森林を琵琶湖の上流地域として健全に守り、かつ資源として活かしていくことは重要ですが、簡単なことではありません。現在、林業の川上から川下までを、環境面を含めて一体的に考え、流通・経済ともに実現させていくため、森林関係団体、製材業者、建築関係者、大学等、産学官民が構成する「多賀町森林資源循環システム構築に関するワーキンググループ」を立ち上げ、毎月1回会議を開催し、それぞれが日々活動を続けています。行政としては、健全な森林づくりのための交付金や地元木材を利用した住宅への補助制度などを創設し、地元木材の循環に向けた取組を広げています。平成30年度末には、地元産スギ・ヒノキを活用した、町民が集う木造の中央公民館が竣工する予定であり、町内外の各方面にアピールできたらと考えております。

産業の活性化としては、もうひとつあります。観光・商業の活性化です。本町は県下有数の入込客を有する多賀大社を有していますが、来訪客の滞在時間が短いため、周辺の門前町商店街に何とか賑わいを取り戻そうと官民協同で取組を進めています。平成28年度から門前通りを景観道路として整備を開始し、平成32年度には全線が整備できる予定です。現在は、空き店舗対策や創業支援の充実、各個店の新たな商品開発に加え、商業者だけでなく、地域住民が誇りを持てるような地域にしようと、それぞれの立場でまちづくりに取り組んでいます。

また、本町においては、集落ごとの課題解決や集落でやりたいことを、集落で考え、集落で実行してもらおうと、多賀町キラリとひかるまちづくり活動支援交付金を創設して、やる気のある集落に対して3年を目途にそれぞれの事業を進めていただいております。本町には、平地から山間部まで42集落がありますが、現在39集落で、集落独自のまちづくり活動に取り組んでもらっており、地域愛も醸成されています。

最後に、今後、地方自治体を取り巻く環境は、ますます、厳しい状況が続くことが予想されます。限られた財源の中で、人口減少・少子高齢化対策、地域経済の活性化・自然災害対策など、対応すべき課題が山積しております。こういう時代になったからこそ、地域住民の皆さまと知恵を絞りながら、一緒に汗をかきながら、「自然と歴史・文化に包まれた キラリとひかるまち」を一人ひとりが実感できるよう、また次の世代に引き継がれるよう、尽力してまいりたいと思っております。