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「教育の島・大崎上島町」を目指して

印刷用ページを表示する 掲載日:2017年4月24日

「教育の島・大崎上島町」を目指して

広島県大崎上島町長 高田 幸典

日本人横綱が19年ぶりに誕生した。真っ向勝負の相撲で夢を実現した稀勢の里関に感動を覚えた人も多いことだろう。その稀勢の里が中学校卒業文集に「天才は生まれつきです。もうなれません。努力です。努力で天才に勝ちます。」と書いていたという。この言葉に凡才のわが身を振り返り、今更ではあるが大いに刺激を受けるとともに反省をしたところである。

日本は少子高齢化が進み人口減少社会に直面している。本町はと言うと、人口がおよそ7,800人で高齢化率約47%の超高齢化社会となっている。平成27年に策定した町の人口ビジョンでは、このままの状況が続けば2060年には人口が約3,000人となることが判明した。正に、日本創成会議が指摘している消滅可能性自治体である。現状に少し改善を加えたぐらいでは流れを変えることはできない。そうした時に出てきたのが、「教育の島」構想である。

大崎上島には海運国日本を支える多くの人材を輩出してきた、創立120年の歴史を誇る広島商船高等専門学校がある。また、時代の流れで現在は無くなったが、多くの造船マンを育てた木江工業高校があった。本町は、日本が高度成長時代に多くの有望な人材を輩出してきた教育の島であったのだ。

広島商船高等専門学校では現在600人を超える学生が学び、うち約500人が本町に住民票を置き、町の活性化に多大な貢献をしているほか、同校では町と連携し、町の課題解決策について研究を進めている。

木江工業高校は現在、県立大崎海星高等学校(普通科)としてその精神は受け継がれているが、少子化やニーズの多様化により進学者が減り、残念ながら県教育委員会の再編対象校となっている。普通科高校が無くなると中学校までしか教育を受けられない島となり、若者が流出してしまうという強い危機感から、2年前に公営塾を設立する等高校の魅力化を図るため支援を始めた。昨年は、地元の中学校からの進学率が30%台から60%台へと上がり、効果が出てきている。

高校の魅力化を進めている時、広島県に「国際社会の持続的な平和と発展」を牽引できる人材の育成を目指す中高一貫校(グローバルリーダー育成校・GL校)を設置する計画があることを知った。「自然豊かな学習環境があり、敷地面積が概ね5万㎡以上あること」など候補地の選定基準が4つあったが、離島ならではの恵まれた自然と静寂な環境は、GL校の学習環境に最適であると確信し立候補した。結果、4自治体が立候補したが、期待通り離島の本町に設置することが決定したのである。現在、平成31年4月開校に向けて準備が進められている。

さらに、町では大学の誘致活動も行っている。数年前から地元、そして島に縁のある方々が中心となり、島に「アショカU」を誘致する活動が始まった。アショカUとは、「社会の変化にすばやく対応し、次々に生まれる綻びを解決する勇気と能力を持つ21世紀型リーダーを輩出する環境と仕組みを備えている。」とアショカ財団が認定する、世界に33校ある大学である。現在、「一般社団法人・東アジア初のアショカUの設置・設立を支援する会(AUST)」が中心となり、アショカUの認定校であるアメリカのメイン州にあるアトランティック大学(COA)の支援を受け、昨年からCOAとその他の海外並びに日本の大学生によるサマースクールを開催するなど誘致活動を進めている。

町では、これらの取組を推進しながら、幼稚園・小中学校で地域の自然・歴史・産業・文化を学び、郷土愛を育むとともに地域の課題を発見し、その解決策を考える学習「大崎上島学」を実施している。また、平成29年度にはすべての小学校にALTを配置しグローバルに活躍できる人材の育成を推進していくこととしている。

今後、これらの島内の教育機関が連携を密にしながら島の教育力を高め、瀬戸内海の「教育の島・大崎上島町」を全国に発信していくことで、本町の地域活性化の起爆剤としたい。