静岡県清水町長 山本 博保
私が生まれ育った静岡県清水町は、世界文化遺産である霊峰富士を北西に望み、静岡県東部地域の中心都市である沼津市と三島市との間に位置しています。面積は8.81㎢と小さい町ではありますが、 人口密度は静岡県内で最も高く、国道1号が町の北部を東西方向に通過し、東名沼津ICや新東名長泉沼津IC、JR東海道新幹線三島駅にも近いなど、広域的な交通の利便性が高く、交通の要衝となっていることから、 幹線道路沿線を中心に大型商業施設や卸商社センターが立地し、商業の活力があふれる町となっています。
町の中央部には、富士山に降った雨や雪どけ水が伏流水となって豊かに湧き出している柿田川が流れております。日量約100万㎥の湧水量と優れた水質は、 岐阜県の長良川や高知県の四万十川とともに日本三大清流のひとつに数えられ、この清流にはミシマバイカモやカワセミなどが生息しております。
また、柿田川は、昭和60年に「日本の名水百選」に選定されたほか、平成23年9月には国の天然記念物に指定されたこともあり、町民の憩いの場として整備した柿田川公園は、多くの観光客で賑わっております。
なお、この柿田川公園周辺には、北条氏が自然の川を堀として築城した泉頭城址があり、豊臣秀吉の小田原攻めのときに廃城となりました。その後、徳川家康が、 豊かな自然環境と湧水のあったこの地を隠居場所として決定し、家康自らが縄張りのためにこの地の訪問を予定しておりましたが、急遽中止となったという史実も確認されております。 清水町では、今後、柿田川などの緑豊かな自然環境と併せて、新たに歴史・文化の観点も活用したまちづくりを進めてまいります。
さて、私は、「大人の財産は経験や知恵であり、また、子どもたちの財産は未来である。」と、常日頃から考えており、町の将来を担う子どもたちが未来に希望を持てる環境づくりが子育て支援や教育の根幹であり、 行政を担う者の責務であると認識しております。
当町では、「元気な子どもの声が聞こえるまち・清水町」をまちづくりの重要テーマに掲げ、中学生までの医療費助成をはじめ、大型商業施設内に「子育て総合支援センター」や「こども交流館」の開設などといった、 数多くの子育て支援策に取り組んできたこともあり、人口全体に占める若年層の割合が高く、子どもを持つ世帯が多い町となっております。
子どもの未来を拓く教育については、学校教育に頼ることなく、行政はもちろん家庭においても教育の大切さを共有しながら、地域全体で人間力や地域力を育てていくことが基本と考えております。 そして、子どもたちが、地域の大人と関わりながら地域の文化や歴史などを学び、この地域で育った子どもたちが、いったん、この地を離れたとしても、またこの地に帰り、 ふるさとを創っていく大人たちに成長することを願っております。
その一方で、これからは国際的な感覚を持って世界で活躍できる子どもを育てることも重要なことと考えますので、英語に慣れ親しみ、 グローバルな視点を持った子どもたちが育つよう本年8月から国のJETプログラムによる外国語指導助手を町内全ての小中学校に1人ずつ配置いたしました。
近年、全国的に問題となっている少子高齢化を伴った人口減少問題でありますが、当町においてもその影響を受けており、年々増加傾向にありました当町の人口は、昨年行われた国勢調査の結果を見ると、 初めて減少に転じております。人口は自治体の活力を表すバロメーターの一つとも考えられますので、人口減少問題や地域の活性化といった地方創生における新たな課題に、 的確に対応していかなければならないと考えております。
そのため、「子育ての満足度」、「老後まで安心の満足度」、「町民サービスの満足度」、「自然環境・生活空間の満足度」そして「働く喜びの満足度」の5つの満足度を高める施策を重点的に展開し、「住んで良かった」、「住み続けたい」と思える、 暮らし満足度日本一の町をめざしてまいります。