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まちの活性化を願って―今やるべきことをやりきる―

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年10月3日

大阪府能勢町長 山口 禎

 

私の住む能勢町は大阪府の最北端に位置し、大阪市を中心とする大都市圏から自動車で1時間、また、大阪国際空港(伊丹空港)、新大阪駅からも約40分という近距離である。 しかし、近距離にあるにもかかわらず、棚田など昔ながらの佇まいが残っており、希少な昆虫や動植物たちが生き生きと暮らす自然と、多くの文化遺産に囲まれた美しい田舎町である。

また、京都府・兵庫県に接し、日本海方面から瀬戸内海方面へ抜ける街道筋にもあたっていたことから、古来より多くの人々の往来があった。真っ暗闇を一人で歩く帰宅途中の学生を見かけたり…、 道路で鹿に出会ったりと、これが能勢町の日常風景なのだが、「大都市大阪」のイメージを持っている人たちからはまるで想像できないような“ゆっくりとした時間”がこの町には流れている。 バスの便は1時間に1本、自動車がなければスーパーにも行けないような土地柄ではあるが、週末になると町外からの人々で賑わう。能勢町観光物産センターでは、 町内の農家の人たちが早朝から収穫した野菜が並び、新鮮な野菜を求める人々で溢れる。また、里山にはおしゃれなカフェやレストランが点在しており、遠く大阪市外や神戸から多くの人々が足を運び、 能勢の自然と空気に癒されている。

平成28年7月1日現在の本町の人口は10,779人。平成11年のピーク時15,000人から毎年のように減り続け今日に至っている。同時に全国各地でみられる様に少子高齢化が進み、 様々な課題が山積する状況にある。この様な人口減少解決策の一つとして、昨年12月の国の規制緩和を受け、本町では独自の提案基準を設け人口が14,000人になるまで、 町内の全ての市街化調整区域内の指定既存集落等において、自己の住宅・兼用住宅・事務所・店舗・飲食店等の建築を認める案を決定し、今月より進める。 移住相談窓口と共に活性化策の一つとして期待するものである。

今年4月に開校した能勢ささゆり学園(能勢町立能勢小学校・能勢町立能勢中学校)は施設一体型の校舎で9年間をつなぐ教育をスタートさせた。「小中9年間一貫した教育ですべての子どもに社会で生き抜く力を育む」をコンセプトに、 全町をフィールドとして学ぶ「グローバル能勢」。英語をツールとして様々な人々と交流する力を育む「グローバル英語」。学習から生活のルールまでを全ての学年において統一させる「授業スタンダード」。 さらには地域・保護者・学校が一体となり地域と共に歩む「コミュニティースクール」をめざして進み始めた。中学生対象の放課後の時間を活用し、学びを深める公設民営型の自立学習塾もはじまった。 能勢の魅力ある教育を実現し、是非、子育て世代を呼び込みたいと考えている。

土地の有効活用も本町の活性化を大きく左右する。大阪府から譲渡された旧府民牧場は17haの広大な敷地があり、能勢ささゆり学園としての活用が始まった。また、旧大阪府総合青少年野外活動センター跡地は、 国内最大級の自然共生型アウトドアパーク「冒険の森inのせ」として復活し、この夏、連日予約が取れない程の盛況ぶりとなった。さらに隣の本館横グラウンドでは先発のドローンに関するSPCが日本各地の企業と連携し、 飛行訓練場としての活動を始めている。また、本町最北端の天王においても教育ロケットが発射され、 ロボットシステム開発会社と大阪大学天文同好会が共催した「能勢ロケット合宿」が中高生参加の下、話題を呼んでいる。

このほか、能勢町にはまだまだ住民が感じていない多くの地域資源が存在している。この資源を如何に有効活用し、本町を活性化させるかが今後の本町発展の鍵を握る。 行政だけでは不可能であるが、民間企業の力もお借りし、「まちの活性化を願って」今やるべきことをやりきるのが私の使命である。