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「どうかよろしく!」-意義ある自治体交流を-

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年4月25日

愛知県町村会長・飛島村長 久野 時男

 

私が生まれ育った飛島村は、愛知県の西南部に位置し、伊勢湾に臨み、西側には木曽川が流れ、東は名古屋市に隣接しています。江戸時代の新田開発の干拓により、土地を広げ、発展してきました。 江戸・明治・大正・昭和と時代が変遷する中で、農業と漁業が盛んに営まれてきた地域であります。昭和34年9月、伊勢湾台風の襲来により、壊滅的な被害を受けましたが、村民の努力により、 復興を遂げました。昭和38年から開始された臨海部の造成工事が完了し、昭和46年に名古屋港の一部である西部臨海工業地帯が村に編入され、現在の飛島村が形成されてきました。

村の北部は農村地帯、南部は臨海工業地帯と様相を異にしており、昔ながらの農業を主にした田園風景と、港内にある各種工場・広大なコンテナ埠頭を持つ港湾施設等が共存している村となっています。 長年にわたり「日本一の健康長寿村づくり」に取り組み、村民と力を合わせて「小さくてもキラリと光る村 とびしま」を目標にして、がんばっています。私が、今思い描いている構想の一つに、 豊根村(愛知県)や南種子町(鹿児島県)との自治体交流があります。この紙面をお借りして、その一端を紹介したいと思います。

平成28年2月、愛知のてっぺん、茶臼山高原のある豊根村で、恒例の星空観察会が開催されました。大小の様々な星たちが次々と見えてきます。さらに、想像を膨らませると、星座の世界が描き出されてきます。 冬はマイナス10℃以下の極寒の地となりますが、星々の美しさは格別です。豊根村は、愛知県の中で最も星空に近い自治体です。

その天空に向かって、2月17日午後5時45分南種子町の種子島宇宙センターから、X線天文衛星ASTRO-Hを搭載したH-ⅡAロケット30号機が打ち上げられました。高く昇っていく様子は、圧倒的な迫力で、 日本の科学力のすばらしさを印象づけました。南種子町は、日本の中で最も宇宙に近い自治体の一つです。

わが飛島村は、この二つの町・村と強いつながりを持っています。いわゆる地域間交流を進めている、またこれから進めていく自治体同士であります。互いの共通項を基盤として、人的交流を中心に、 よりよい地域づくりを目ざすという目標を持って活動しています。

豊根村とは、平成28年1月19日に、愛知県の大村知事に立会いをしていただき、愛知県公館にて、「友好自治体提携調印式」を行いました。飛島村と豊根村は、それぞれ愛知県の西南部と東北部に位置し、 尾張と三河、臨海平野部と山間部、河口部と源流部といった違いがあり、それぞれの特性を活かして発展してきました。平成24年12月に「災害時における相互応援協定」を締結して以降、交流を積み重ね、 相互の理解と信頼を深めてきています。実績が積み上がったこの機に、愛知県内で二つしかない村同士が、さらに多方面にわたって交流を深め、両村の活性化を図るため、友好自治体提携を結ぶことになりました。 今後、両村の住民の相互交流や相互理解がいっそう深まるよう、各種の取り組みを円滑に推進していきます。

また、南種子町とはロケットが取り持つ縁で、互いの交流を始めようと動いています。南種子町には、宇宙航空研究開発機構(JAXA)の発射場・種子島宇宙センターがあり、 飛島村には国産ロケット組み立て拠点となっている三菱重工業飛島工場があります。日本の科学技術の粋を結集した“ロケット”交流による姉妹盟約を結び、まさに、 夢とロマンがいっぱいの宇宙を舞台にした交流にしたいと考えています。人口5,900人ほどの南種子町と人口4,600人ほどの飛島村ではありますが、夢は果てしなく大きなものであります。まずは、 次の三つの内容を中心に、交流を進めていきます。

(1)子どもたちの相互交流

平成28年度は、夏休み期間中に南種子町の子どもたち(小学生を予定)に飛島村を訪問してもらい、三菱重工業の飛島工場の見学、宇宙教室等への参加をします。飛島村の子どもたちとも交流し、研修を行います。 また、冬休み期間中には、飛島村の6年生(希望者)を派遣し、種子島宇宙センター・宇宙科学技術館の見学、「少年の翼」の団員との交流等を行います。

(2)物品の交流

それぞれの特産物・特産品をイベントで販売したり、町内や村内の食堂・売店、産直市で取り扱ったりしていきます。

(3)災害協定

お互いの町・村が大規模な自然災害などに遭った場合、職員の派遣、物資の搬送を行います。

以上のようなことを考え、検討していこうと現在話し合っているところであります。あせらず、しっかり手を結び、夢の実現に向かって、自然体で心が通じ合える関係を築いていきたいと思っています。 住民同士の絆が、いっそう強まることを期待して。