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~日本一細長い~ 佐田岬半島のまち「伊方町」

印刷用ページを表示する 掲載日:2016年4月11日

愛媛県伊方町長 山下 和彦

 

伊方町は、四国の西端から九州に向かって真っすぐに伸びた佐田岬半島の町です。

この地方に伝わるトッポ話(途方もない創作話)として、「オラんとこの山はのう、13里もあるのよ。あまりにも細くて高い山じゃけん、風でコケたらいけん思うて、横に寝かしちょるのよ」と伝えられてきたように、 日本一細長い半島として有名です。

半島は豊予海峡を北の瀬戸内海と南の宇和海に隔てており、リアス式海岸の良港に恵まれ一本釣りや採貝藻業などの沿岸漁業が盛んで、平地が少なく急峻な山地が馬の瀬のように連なる斜面では、 石垣を積み上げて段畑を築き、柑橘栽培を中心とした農業が営まれています。

かつて道路の整備が遅れていた頃、半島を縦貫する国道は、宇和海側の海岸沿いを曲がりくねり車両の離合さえも困難な悪路であったことから、国道197号をもじって「行くな酷道」と称されていました。

しかしながら、昭和62年末に半島の尾根を背骨のように貫く国道バイパス(佐田岬メロディーライン)が開通したことにより、交通事情は飛躍的に向上し、その後、人々の暮らしも目覚ましい変化を遂げてきました。

また、佐田岬半島は四国の電力供給に大きく貢献するエネルギー半島でもあります。

四国で唯一の伊方原子力発電所は、昭和52年に1号機が運転を始め、東日本大震災前には、3つの原子炉の稼働で四国における発電電力の約4割を原子力が占める状況でした。

また、半島を吹き抜ける強い季節風を逆手に取り、他に先駆けて風力発電事業に取り組んできたことから、現在、町内には58基の風車が立ち並び、総発電量は約6万7千kWの施設が稼働しています。

これまで、原子力発電も風力発電も化石燃料を使用せず二酸化炭素を排出しないクリーンエネルギーによって、地球温暖化対策に大きく貢献している地域として高く評価され、 全国から大勢の方々に視察に訪れていただいておりましたが、5年前の東日本大震災による巨大津波で発生した福島第一原発事故により、原子力発電に対する情勢は大きく変化しました。

それまで町は原発立地町として、原子力発電所に大きく依存してきたことから、震災後、町内では雇用や商工業等への影響が生じ、その対策に迫られた私は、 この風光明媚な佐田岬半島の豊かな自然や地域資源を活用した新たな産業の創造を目指して、新たな観光振興策によるまちづくりに着手しました。

その指針として“暮らすしあわせ・訪れるしあわせ”をテーマに「佐田岬観光まちづくり実施計画」を策定し、主要事業の一つに、 半島の先端で白亜に輝き全国灯台50選にも選ばれた佐田岬灯台の「100年記念イベント」を掲げ、平成29年度の実施に向けて老朽化した遊歩道の改良工事や、新たに戦時中使用されていた要塞の砲台跡へのアクセスを可能とし、 展望スポットとして整備を行うなど、観光施設としての魅力を高め、全国の皆さんに「佐田岬」を知っていただき、訪れていただけるよう取り組む所存です。

また、半島の先にある三崎港から大分県佐賀関港へ向けて、国道九四フェリーが毎日16往復運航しており、70分間の航海は九州への最短コースとして、年間40万人の方々に利用されています。

このように、九州との西の玄関口として大きな役割を担う港であることから、九州へのアクセス拠点としての更なる魅力向上を目指し、 観光交流拠点施設「佐田岬はなはな」において大分市と連携して観光イベントなどを実施する予定としています。

このたび、このような機会をいただきましたので、四国の最西端、日本一細長い佐田岬半島のまち「伊方町」を紹介させていただきました。

全国の皆様に、是非一度訪れていただきたいと心から願っております。