ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 町村長随想 > "住んでみたい 住んで良かった"魅力ある村を目指して

"住んでみたい 住んで良かった"魅力ある村を目指して

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年10月26日

長野県松川村長 平林 明人

 

松川村は、長野県の北西部、北安曇郡の南端、安曇野の北寄りに位置し、東西10.8㎞、南北7.3㎞、四隣は北に大町市、南に安曇野市、東は池田町に面しています。 北西部に雄大な北アルプス連峰がそびえ、このアルプスを源流とする高瀬川、乳川、芦間川、中房川といった一級河川が流れています。また、西には、 安曇富士と称される有明山の麓に神戸原扇状地が広がっています。当村の面積の約56%は森林、約25%は農地が占めており、国道を境に東側は住宅地が集積し、西側は田園地域が広がり、 西部山岳地帯はほぼ手つかずの森林地帯となっています。

1889年(明治22年)町村制施行により現在の松川村が誕生し、以降一度の分村・合併もなく着実な発展を続け、国勢調査では常に人口が増加してきており、2015年には村制施行125周年を迎えました。 また、2010年に実施された国勢調査の結果から、松川村の男性の平均寿命が82.2歳となり、「男性長寿日本一の村」として一躍有名になりました。これは、 これまで先輩たちが培ってきた松川村の素晴らしい環境はもちろん、その中で日々暮らしている村民が、それぞれ生きがいを持って生活してきた結果であり、村のかじ取りを担う一人として誇りに思うものであります。

松川村では、近年多様化する観光ニーズに対応するため、村の豊かな自然、貴重な文化遺産、風光明媚な田園風景、清らかな水と空気、豊かな土で育まれた農産物など、 優れた観光資源や素材を大切にした、地域の個性や魅力を生かした観光地を目指しています。

安曇野ちひろ美術館やすずむし荘、道の駅「安曇野松川」などの観光施設には、年間約54万人の観光客が訪れています。その中でも安曇野ちひろ美術館は、1997年の開館以来、 村の観光の核として、周囲の安曇野ちひろ公園とともに村の観光産業の発展に欠かせない存在として広く親しまれています。近年では、 安曇野市と大町・松川地区に開園した国営アルプスあづみの公園の中間地点に位置していることも含め、松川村の観光産業発展の更なる可能性を持った施設であると確信しています。

松川村では、安曇野ちひろ美術館を核とした西原地区の観光エリアについて、「農業と食」「休息と創造」「自然と遊び」を3つの基本的な空間構成として位置付け、さらには、 隣接する安曇野ちひろ美術館とも縁の深い黒柳徹子氏の著書である『窓ぎわのトットちゃん』の世界をイメージした「トットちゃん広場」を再現し、 そこに描き出された古き良き時代の日本人の生き方や、少し不便でも上手に自然と共生していた時代のあり方をイメージとして表現することにより、食と農と命の育みを実現する循環型農業による、 新しいライフスタイルの提案ができる公園整備に着手しました。 この広場は、黒柳徹子氏にもご協力をいただく中で、『窓ぎわのトットちゃん』に描かれている「電車の教室」を再現し、全体として「トモエ学園」の雰囲気をつくることを考えています。 電車内部には絵本を中心とした児童書を配架し図書室として開放するとともに、当時の教室の雰囲気を再現した、休憩と読書が楽しめるスペースとして活用することを計画しています。

また、センターハウスを中心とした農業体験ゾーンでは、地元の農業関係者の協力を得ながら、実際の農作物の収穫体験を含め、地場産の農作物を使った郷土料理や行事食の体験ができるほか、 観光情報発信の拠点の役割を担うとともに、地元農家の皆さんのよりどころとしての機能も果たし、周辺観光施設や飲食店と共に農業と観光の両面が活性化するように機能することを期待しています。

現在、2016年夏のオープンを目指して順調に本公園の工事を進めているところでありますが、開園後には「トットちゃん広場」をシンボルとして、広く世界中の方々に親しまれる公園となることはもとより、 地域住民と観光客のふれあいの空間として、松川村の各産業を活性化させる新たな観光拠点となることを確信しています。