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こんぴら今昔、そして未来へ

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年8月31日

こんぴら今昔、そして未来へ

香川県琴平町長 小野 正人

「金毘羅船々 追手に帆かけてシュラシュシュシュ」ご存知、民謡こんぴら舟々の一節です。

琴平町は金刀比羅宮(こんぴらさん)の門前町として、江戸時代から多くの参詣客で栄えてきた町です。

皆様の中には既にお越しになった方も多いかと存じますが、金刀比羅宮は「海の神様」として有名で、本宮まで七八五段、奥社までは一三六八段の石段があり、 江戸の昔より庶民信仰のメッカとしてお伊勢詣りとともに「一生に一度はこんぴら詣り」と称されてまいりました。

また、境内にある書院などには伊藤若冲、円山応挙、高橋由一などの著名な美術・工芸品が多くあり、近年のアートブームのおかげで芸術愛好家からも注目を浴びています。また、 パワースポットブームということで若い女性客や海外からのお客様が増えています。私は、現在53歳。そんな賑やかで活気に満ちた町で生まれ育った生粋の「こんぴらっ子」です。

全国的に観光地はどこもそうだと思いますが、高度経済成長期からバブルがはじけるまでは団体客が主流で、大型バスや鉄道でお越しになる方が大多数だったと記憶しています。 夜になると浴衣姿の観光客が街中をそぞろ歩き、独特の旅情を醸し出していました。また、修学旅行の学生で土産物店にも多くの人が溢れてにぎやかだったことが思い出されます。

年間300万人が訪れ、県内はもとより四国においても松山市の道後温泉と並ぶ観光地でした。そして、瀬戸大橋が開通した昭和63年の翌年には600万人を超える観光客が押し寄せ、町内は活気に満ち溢れていました。

しかし、ブームは一過性のもので数年後にはもとの状態に戻りました。とはいえ年間250万人から300万人の方が訪れるのですから、人口1万人にも満たない町として大いに健闘していると考えています。

一方で、少子高齢化が全国平均より早いスピードで進展し、商工業さらには農業といった分野で後継者が育っていません。このことから商工会青年部においては、私が代表を務めた当時、 50~60名の会員が在籍していましたが、今では20 名前後となっています。この閉塞感を打破しようと琴平町では、観光地であるという特色を活かし、このたびの地方創生において、 観光客つまり交流人口を増やし、その観光客をターゲットにしたショップや飲食店の開業をめざす都会の若者に移住・定住してもらえるような支援を行いたいと考えています。

また、歴史ある町並みを復元し、後世に伝えていくために景観整備事業に着手したいと考えています。その手始めとして昨年、 全国の門前町が集まり地域の発展と信仰を中心とした文化の継承を目指す「全国門前町サミット」を、友好親善町村である新潟県弥彦村からバトンを引き継ぎ琴平町で開催させていただきました。

町内には歴史的建造物が数多く残っており、その中でも江戸時代の芝居小屋を復元・保存し、国の重要文化財に指定されている旧金毘羅大芝居(通称・金丸座)では、 毎年春に「四国こんぴら歌舞伎大芝居公演」を開催しています。江戸時代にタイムスリップしたかのような異空間で上演される本格的な公演は、全国から多くの歌舞伎ファンにお越しいただいており、 今年で第三一回を数えることができました。

この他にも金刀比羅宮の境内を含め、江戸・明治・大正・昭和初期の建造物が多くあり、これらを活用し歴史に裏付けされた趣ある町並みを形成できればと考えています。

これまでの数百年、そしてこれからの歴史において、琴平町が琴平町としてあり続けられるよう奮闘努力をしてまいりたいと考えています。