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駅を中心としたコンパクトタウン 「駅に降りてみたい 歩いてみたい 住んでみたくなる町づくり」をめざして

印刷用ページを表示する 掲載日:2015年2月23日

福島県鏡石町長 遠藤 栄作

 

鏡石町は、戦後の国営開拓事業で「日本三大開拓地」の一つである「矢吹が原開拓地」にあり、唱歌「牧場の朝」のモデルとなった、日本で初めての西洋式牧場(岩瀬牧場)がある農業の町であります。

位置は、福島県の中通り地方にあり、県の中央にある郡山市と東北の玄関口となる白河市の中間に位置しています。総面積は、31.25k㎡と県内で3番目に小さな町で、約半分が農地、 森林面積は僅か13%と平坦な地形と田畑に囲まれ、人口は平成22年国勢調査時で12、818人と、微増を続けてきた人口の減らない町であります。

その理由としては交通の利便性にあります。東北自動車道(鏡石スマートIC)、国道4号線、JR東北本線(鏡石駅)が南北に縦断し、福島空港へは車で15分、東北新幹線の「郡山駅」、 そして「新白河駅」までは電車で20分前後、東京駅へは時間という交通の利便性がとてもよい町であります。特に特徴的なことは町の面積が小さいところに鏡石駅が町の中央にあり、 駅から半径1㎞以内に人口の約6割強の住民が住んでいることで、まさに歩いて暮らしやすいコンパクトな町なのです。

私は町職員からの首長であり現在2期目となりますが、職員時代からまちづくりには関心がありました。職員は、担当部門の中でしかまちづくりは叶いませんが、 首長は全ての分野のまちづくりに携わることができます。職員時代は辞令の紙一枚でいつどこの課に配属されるか分かりませんし、来年の夢を思い描いても異動すれば新しい仕事をすることになってしまいます。

私は「駅に降りてみたい 歩いてみたい そして住んでみたいまちづくり」を一期目の公約としてスタートしました。ところが就任9カ月目にしてあの東日本大震災が発生し、 震度6強の地震により住宅の23%(1、000戸)が半壊以上、小学校1校が全壊する大きな被害を受けました。この震災により思い描いたまちづくりが一時お預け状態となったことは言うまでもありません。

1期目の3年3カ月は、ただ夢中で地震による災害復旧、原発事故による除染対策などに全力で取組む毎日でした。震災から2年11カ月で、復興のシンボルとなる全壊した小学校が完成し、 町内の復旧工事もほぼ完了することができました。

このような震災復旧の中でも、何とか思い描いた「駅に降りてみたいまちづくり」に挑戦したいと思い、駅からすぐ目の前にある、町図書館の展望室から眺望できる「田んぼアート事業」に取組みました。 観覧者数も初年度5,600人、3年目の昨年は17,000人を数え、その内8割は町外からの見学者でした。また駅のトイレも災害時対応型に新設し、復興のシンボルとなるモニュメントも、 この3月には駅前に完成する予定です。

次に駅に降りてみたくなる「駅で買い物」「駅で集う」「駅に行くことが楽しくなる」駅広場づくりのため、現在「駅前広場整備計画」に取組んでおります。

また「歩いてみたい 住んでみたい」まちづくりとしては、本町の特徴でもある平坦で歩きやすく、田畑が市街化区域に隣接した良好な環境を活かし、 町の財産でもある唱歌「牧場の朝」のイメージを歩きながら感じ取れる、街中ウォーキングコースに新年度から取組んでいくこととしています。住宅に関しては、現在駅東側に2年後の完成を目指して、 約10haの土地区画整理事業を進めており、今年から一部住宅建設が可能となります。

本町は福島県の中心都市「郡山市」のベットタウンとして、また東京にも日帰りできる便利な町として、さらに歩いてみたい、住んでみたくなる町として、 駅を中心にしたコンパクトタウンづくりに取組んで参りたいと思っています。