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「若い皆さんが創る将来」に期待する

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年9月22日

長野県小布施町長 市村 良三

 

小布施町は長野市の北東20㎞に位置し、面積19.07k㎡の長野県で一番小さな町です。人口11,400人。農業が主産業の落ち着いた静かな町でもあります。

ここ40年程続いている所謂「まちづくり」により少し世間に町名を知って頂き、年間を通じて実力以上のお客様にも来町頂いている有難い状況にもあります。

これまでの日本の社会における価値観/価値判断の基準は、都会にあったと言わざるを得ません。都会と比較して「取り残された」場所としてイメージされてきた地方・田舎が、 これからの社会における「新しい価値観」を創造していく震源地になりたい。そう考えています。

ちょうど1年前、ブエノスアイレスIOC総会で2020年オリンピックの東京開催が決まりました。日本にとっても国民にとってもとても嬉しいことです。とりわけ、 小中学生から青年層にはひとつの希望の灯がともったとも思えます。

超高齢と人口減少社会は若い皆さんにとって先行きの閉塞感に繋がります。加えて長期の経済低迷と社会の仕組みのひずみにより、「若い人に元気がない」とも言われています。 海外留学や外国で働く望みを持つ若い方が諸外国に比して少ないとの統計もあります。

「若い方に元気がない」私はそうは思っておりません。

小布施町は長い間、「インターンシップ」や「大学のゼミ」等を数多く受け入れて来ました。 小布施はハードにおいてもソフト的にも「まちづくり」の現実を研究しやすいということがあったと思いますし、それは大いに意義のあることだと思います。しかし長く続けるうちに、 そのこと自体からは「新しいこと」や「新しい価値」が生まれてこないことに気が付いてきました。

平成21年、「第61回日米学生会議」を誘致しました。両国の学生各36人ずつ、計72人をホームステイでお迎えし4日間。これからの世界、日米間、環境、平和、 地球市民としてのあり方などを徹底的に議論して、実践を目指すというその会議の持ち方に感動し、「若い人の、若い人による、若い人のための会議」を小布施で創っていく決心をしました。 2年半の準備をして、平成24年9月、「第一回小布施若者会議」を270人の参加を得て開催しました。全国から35歳以下の若者が集っての3日間。2日目の夜は図書館、 小学校などを会場に徹夜の議論になり、36に分かれた夫々のチームから政策提言がなされた熱く、充実した会議になりました。驚いたことは参加者の6割が社会人であったことです。 厳しい時代だからこそ皆さん、社会のありよう、自分の将来を真剣に考え、切り開いて行こうとされています。明るい力強さを感じました。

この「小布施若者会議」が全国に、世界に発信されハーバード大学でキャッチされました。まさに情報の受発信です。 同大では1年生向けのキャリア教育を基に2011年から東京で日本の高校生向けにサマースクールを始めており、小布施での開催のオファーを頂きました。昨年8月、5泊6日で県外20名、 県内20名の高校生を対象にサマースクールを開催出来ました。ハーバード大生はじめ50人の大学生が講師を勤め、まさに「リベラルアーツ」の実践でした。本年以降も引き続き実施して参ります。

第2回小布施若者会議は、「観光」「農業」「教育」「コミュニティ」「ビジネス」など将来に向けての方法や手段について夜を徹して語り合い、 未来を切り開いていく新たな価値を発見していただきました。参加した若者たちが、町と一緒に活動したいと社団法人を立ち上げたり、 プロジェクトが始動したりと交流から創造を生みだしていただいています。今年も11月22日~24日に第3回小布施若者会議を開催します。

私たち田舎の自治体こそ、こうした「若い皆さん」に様々な「場」の提供を行うこと、そして、そこから生まれ出る「新しい価値」を育て、実践、 実行して行くことにも大いに力を入れるべき時が来ているのかも知れません。