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心が癒される自然豊かな京都府唯一の「村」

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年9月1日

京都府南山城村長 手仲 圓容

 

南山城村は京都府の南東端に位置し、東は三重県伊賀市、南は奈良市、北は滋賀県甲賀市に囲まれた小さな山村です。古くは柳生藩の領地で近江の国の国境には野殿関所があり、 伊賀の国との領地争いは多くの逸話が残っています。

また、かの柳生十兵衛が鷹狩りの途中に命を落としたとされる弓が淵(夢絃峡)は、時の流れが止まったかのように静かな幽玄の世界を醸し出しています。

南山城村は良質のお茶栽培に適した気候・土壌に恵まれ、「宇治茶の主産地」として有名であり、特に煎茶の生産量はお隣の和束町と合わせると京都産の80%を超えており、 京都府茶品評会では31回中21回の産地賞を受賞し、近年は14年連続の産地賞と13年連続の農林水産大臣賞を獲得しています。

しかし、少子高齢化が急速に進み、若者の田舎離れが加速して村の人口は3千人にまで減少し、お茶農家の後継者不足問題をはじめとした人口対策が喫緊の課題となっています。

 

平成の大合併では、協議を進めた近隣市町との合併に加われず、私が村長に就任した平成19年度の村財政状況は公債費比率が24.6%にまで達しており、破綻して村がつぶれる寸前の状態でした。

そのため、1期目は新規事業を原則凍結して行財政改革に取り組み、職員を50人にまで削減するとともに、同じく合併に取り残された近隣の笠置町、 和束町とともに相楽東部広域連合(教育委員会を中心とした広域連合化)を立ち上げるなどして、必死の財政再建に取り組みました。これらの取り組みにより徐々に財政状況が改善され、 財政調整基金も積み立てることができるようになってきたことから、村長2期目に就任してからは、村の活性化を図り村が自立していくための施策を積極的に展開することとしました。

 

私は、若者の村への流入などにより人口減少を食い止め、村が活気を取り戻して夢と希望のある地域社会となるため、役場内に「魅力ある村づくり推進室」を立ち上げるとともに、 プロジェクトチームによる第4次総合計画「自然が薫り 絆が生きる自立する村!みなみやましろ」をまとめ、村の目指す姿「村で暮らし続ける」ことの実現に向かって、 職員と一丸となって取り組んでいます。

田舎暮らし体験プログラムなどの事業に加え、移住者に対する定住促進奨励金制度の創設、中学校までの医療費完全無料化、保育園での待機児童ゼロ、6年生までの学童保育などの制度設計により、 最近は、「心が癒やされ豊かな自然に恵まれたゆとりある生活ができ、子育てのしやすい環境が整った南山城村に住みたい!」との評価も高まり移住者が増えてきています。

また今、「南山城村道の駅」の平成29年オープンを目指しています。この道の駅は、単なる農産物の売り場でなく、特産品開発などによる農業の振興を図り、地元に雇用を創出し、 買い物難民や交通弱者に配慮した村の商業集積地となり、村民の憩いの場所にもしたいと思っています。加えて、近隣市町と連携した観光基地や安心・安全に暮らしていくための防災拠点にもする予定です。

このことで村の魅力が更に高まり、転出者が減って転入者が増えることにより村が活性化していくものと思っており、「魅力ある村づくり事業」の最重要施策であり目玉事業です。

 

私の今期の任期は残り1年と迫っていますが、現在軌道に乗りつつあるこの事業が予定どおり進捗し、目標年度に完成・オープンとなるよう全力投球をしています。また、 昨年に廃止された「京都府立南山城少年自然の家」の建物を有効活用することとして京都府から無償譲渡を受け、それをNPO法人の運営によって青少年やスポーツ少年団などの宿泊・ 合宿施設としてまもなく再オープンすることとなっています。

これまでの取り組みも含めて「魅力ある村づくり」を積極的に展開することにより、 消えてなくなる村でなく、「住んでいて良かった。暮らし続けたい。」と思っていただける村となるように精一杯頑張っていきたいと思っています。