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「三ツ星のふるさと」を目指して

印刷用ページを表示する 掲載日:2014年7月21日

千葉県鋸南町長 白石 治和

 

鋸南町は、房総半島の西南、南房総の玄関口に位置し、北に東京湾を望む名山鋸山、西に南房総国定公園の風光明媚な海岸線を有する温暖な地域で、 豊かな自然に恵まれています。都心から65㎞、東京湾アクアラインを経由すれば1時間余りで、東京の郊外と言えるほどの近距離にあります。

鋸南町は、『見返り美人図』の作者で浮世絵の創始者である菱川師宣の誕生地であることから、 師宣の業績や作品を紹介する浮世絵博物館である「菱川師宣記念館」があります。また、日本一の大きさを誇る日本寺の大仏、 漁協直営食堂の「ばんや」や「なぶら」も人気のスポットです。かつては海水浴客等の夏季観光が中心でしたが、 早春の花や地元の新鮮な野菜や魚を目当てに訪れる方も多く、通年観光へと広がってきています。

里山や里海をフィールドとしたスポーツイベント「マラソン」や「オーシャンスイム大会」また、 自然散策と季節の味覚を組み合わせた「味わいハイキング」も好評です。年々回数を重ねるたびに参加者も増え、多くのアスリートやハイカーが訪れ、 町の魅力を発信するイベントとなっています。

日本一の水仙の里、桜の里
本町は、古くから日本水仙の群生 地としても知られています。12月中旬から咲き始める水仙は、 丈が長く香の強いことが特徴です。「水仙ロード」や「をくづれ水仙郷」をはじめ、毎年開催している「水仙まつり」には、多くの観光客が訪れています。

「日本一の桜の里」を目指し、町民と一体となって桜の植栽にも取り組んできました。平成14年に本場、 伊豆の河津町から河津桜の原木の子孫を寄贈していただいたことに端を発し、佐久間ダム湖親水公園をはじめ、 町内各所に約1万5千本の苗木を植栽してきました。

桜の愛称は、石橋山の戦いに敗れた源頼朝が、町内の竜島海岸に上陸し、兵を立て直し、 天下を治めた伝説の地であることに由来し、「頼朝桜」と命名しました。現在は、頼朝桜も大きく育ち、水仙や桜を目当てに多くの方が訪れるようになり、 早春の花観光として定着してきました。これからも四季を通して開花が見られるよう、紫陽花、芙蓉など花木の植栽に力を入れています。

都市交流施設整備事業を進めて
鋸南町は、平成23年度に長期的なまちづくりの指針とした「新鋸南町総合計画」を策定しました。

この計画の主要事業として、統合後に閉校した小学校を利活用した都市交流施設整備事業に取り組んでいます。この事業は、農水産物の直売所や飲食施設、 情報窓口をはじめ、子どもの遊び場や簡易宿泊施設等を予定していますが、近隣自治体にも同様の施設が多々ある中で、 オンリーワンの施設となるよう知恵を絞っているところです。完成後は、この施設が南房総の拠点となり、 地域の特産品の販売や地元グルメの紹介など本町をはじめ南房総地域の魅力を発信していくとともに、町民の方々が活躍できるステージとなるよう望んでいます。 そして来訪者が本町の魅力を感じ、更には定住化に繋げられたらと期待しています。

 

平成11年に町長に就任して以来、財政難の中「明るく、楽しく、元気よく生活できる鋸南町」を目標とし、様々な施策に取り組んでまいりました。その間、 人件費の削減や公共施設の統合等、徹底した行財政改革に取り組み、重要課題であった老朽化した教育施設や保育所の整備、また、 子育て支援のための保育時間の延長、学童保育所を開設するなど、住民の生活を守るための様々な事業を完遂してきました。

これも、住民の皆さまとの協働で取り組んできた成果と思っております。

少子高齢化が進む中で、鋸南町は都会と同じものを求めるのではなく、温暖な気候、風光明媚な景観、首都東京への近接性など、 町が有する特性を活かしながら、住民どうし、住民と行政が力をあわせ、住んでよし、働いてよし、 訪れてよしの「三ツ星のふるさと」を創ることを目指してまいります。