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歴史遺産と田園風景のある若者定住の田舎を目指したむらづくり

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年9月2日

福島県町村会長 福島県湯川村長 大塚 節雄

 

湯川村は、福島県の中で一番面積の少ない村ですが、山も丘もない真っ平な所で、今NHK大河ドラマ「八重の桜」の舞台になっている会津若松市と、ラーメンの町喜多方市に挟まれています。 会津盆地の中央にあり、360度のパノラマが見られます。

また、会津盆地周辺の山々からの川が当村に集まり、豊富な水と肥沃な土壌が一面の水田を形成し、村総面積の約70%が水田であり、県内一の良質米の生産地であります。

村には、大同2年(西暦807年)平安初期伝教大師の論敵として最澄・空海と論争したとされる法相宗の碩学徳一上人によって開かれた、東北を代表する古刹勝常寺という寺があります。 寺には1,200年前の仏像が有り、その中の薬師如来と日光菩薩・月光菩薩は国宝に指定され、平成13年までは東京以北では唯一の国宝仏像でありました。勝常寺伽藍配置図は奈良の東大寺と同じであり、 は奈良の仏教文化の影響が大きな寺であり、東北の仏教に大きく貢献したものと思われます。

また、当村は自動車専用道路もあり、東西南北の道路が交わる、交通の利便の良い所です。会津地方のベッドタウンとして、若者の定住促進を図る計画で進めております。

村の振興計画で、平成元年の人口3,800人を目標に、800戸世帯を1,000戸にし、1戸3.8人で3,800人の計画を持って進めておりますが、宅地造成等を進めた結果、約170戸増え、 970戸程になったものの、人口は年々減少している状況にあります。

しかし、何とか計画を達成すべく、若者定住に向け、出産支援・子育て支援・幼児教育の充実とさらに宅地造成事業を進め、人口増に取り組んで参ります子育て支援では、保育所の増設をし、 希望者が全員入所できるよう体制を整えました。今後、全保護者を対象にし、負担のかからないような保育料の料金設定を、来年度から実施したいと試算している所であります。幼稚園についても、 2つの幼稚園を1つに統合し、新しい幼稚園では送迎付きで月額2千円。幼稚園の一室を学童保育用に造り、小学4年生までの児童を放課後受け入れております。 学校教育・社会教育施設は全て耐震化が終了して安全対策を終えた所でもあり、今後は教育のさらなる充実に努めている所であります。

今年5月に、県立医大付属の医療センターも隣接地に出来、車で5分で行ける場所にあります。 又、全国でも珍しい、人の駅(防災センター)・川の駅(親水公園)・道の駅と3つの施設が一つになった、人・川・道の駅を平成26年にオープンする計画で進めております。

湯川村の主たる産業は農業であり、今までは水稲と畜産(肉牛)が主でありましたが、ここ数年間畜産農家が減少しました。その代わりに、水田の大型圃場整備が全て終了し、 稲作農家(担い手)の規模が拡大してきております。村の農業政策として、高齢化している農家の水田をどのように維持していくかが課題であります。 受皿として、担い手・集団・農業法人に作業用地を集約できるよう、土地の利用権設定の助成・機械設備への整備について一定の規模拡大をすれば、農業機械の購入に対し、 個人の場合は代金の20%(上限200万円)、法人の場合20%(上限300万円)までを村独自で助成する制度と、 良質米生産資材の助成・米の生産調整の互助を取り組む人への互助料金の助成・野菜ハウス資材への助成・肥育素牛導入助成等、農業生産に対して積極的に農業支援に取り組んでおり、 その結果耕作放棄地は無く、米も会津湯川米のブランドを確立しております。

一面の水田風景を残しながら、会津のベッドタウンとして若者が定住出来る村として、文化遺産がある歴史のある村として、村民が安心とゆとりを持てる生活ができる村づくりに取り組んでいきたいと思います。

米と文化の里 湯川村