ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 町村長随想 > ひとにやさしく、自然にやさしく、未来につなぐまちづくり

ひとにやさしく、自然にやさしく、未来につなぐまちづくり

印刷用ページを表示する 掲載日:2013年3月11日

静岡県南伊豆町長 鈴木 史鶴哉

 

南伊豆町は、伊豆半島最南端に位置し、北東は下田市、北は松崎町に接しており、南と西は太平洋が展望できる立地となっています。また、町内のほとんどが天城山脈に 連なる山地の影響で急傾斜地となっており、8割以上を山林や原野が占めています。気候は、県下で最も温暖で、石廊崎や波勝崎をはじめ日本の渚百選にも選定されている 弓ヶ浜海岸、湯煙が立ち昇る下賀茂温泉など、大変豊かな自然を有しており、富士箱根伊豆国立公園に属する一大景勝地となっています。

町は昭和49年5月9日伊豆半島沖地震、同50年10月8日、翌年7月11日及び10月9日と連続した集中豪雨で大災害を経験いたしました。

伊豆半島沖地震では、30名もの尊い命が犠牲となり、昭和30年に南伊豆町が発足以来、最大の災害でありました。8月には、局地激甚災害地の指定を受け、 災害復旧工事が進められました。当時、私は、消防防災担当職員として不眠不休で、災害対応に取り組んだことが、忘れられません。

翌50年、51年の度重なる集中豪雨で、我が町最大の二級河川である青野川が大洪水災害を引き起こしました。この災害により、青野川は、河川激甚災害対策特別緊急整備事業 (適用期間5年)として採択され、昭和51年から昭和55年まで大改修事業が行われ、今日では、豪雨でも氾濫しない落ち着いた清流となって海にそそいでいます。

これらの災害を受け、防災対策に取り組んでまいりましたが、平成22年3月に発生した「東日本大震災」や昨年8月29日に内閣府から発表された 「南海トラフの巨大地震による津波高・浸水域等及び被害想定」を基に、地域防災計画を見直しするとともに防災・減災事業の推進に努めてまいります。

伊豆半島自体が道路の決壊等により、孤立することも考えられるため、伊豆縦貫自動車道の早期完成に向けた要望や災害復旧のための伊豆地域啓開道路網の整備等、 静岡県や関係市町と検討協議してまいります。

昨年9月24日、伊豆半島の日本ジオパークネットワークへの加盟が承認されたところですが、本町におきましては、昨年7月に開設した 「南伊豆町ジオパークビジターセンター」が、ジオガイドの活動拠点となっております。ジオガイドの中には、フランス語を解する者もおり、また、町内の「道の駅」には、 本年度から、英語、中国語の通訳も配置しております。今後、南伊豆町ジオパークビジターセンターを拠点として、世界ジオパーク加盟に向けて、静岡県や伊豆半島ジオパーク 推進協議会等と連携を図りながら、一層その取組を進め、町の活性化につなげてまいりたいと考えております。

恵まれた自然資源を活かしたまちづくりを進め、観光地としての基盤整備に取り組んできておりますが、高齢化が進む中で各産業の様々な分野での新たな対応が 求められてきております。このような状況の中、平成21年1月にオープンした「湯の花観光交流館」が観光客、町民の交流の拠点として実績をあげており、地産地消、 高齢者対策の面から、また第一次産業と第三次産業の連携による各産業への波及効果をもたらしております。

厳しい財政事情ではありますが、第五次南伊豆町総合計画に基づき、将来像として掲げた『次世代につなぐ 光と水と緑に輝く南伊豆町~ひとにやさしく、自然にやさしく、 未来につなぐまちづくり~』の実現に向け、取り組んでまいります。