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 明るいまちづくりに向けて

印刷用ページを表示する 掲載日:2011年1月10日

和歌山県上富田町長 小出隆道

「随想」には、固い話になりますが上富田町行政運営の一部を御紹介します。上富田町は、昭和の合併時より約5千人の人口が増えて現在では1万5千人の町となっています。増加要因としては、上富田町総合計画で「農業と商工業の調和のとれた田園工業型の町づくり」を目指したことがあげられます。農業は町の中心を流れる富田川流域の平坦地で稲作と蔬菜(そさい)栽培、また、丘陵地の樹園地では、特に梅・柑橘栽培が盛んで後継者も育っています。商工業では企業立地を積極的に行なったところ、食品加工業、金属加工業、布地製造企業等が立地されています。しかし、地元小売業は大型店舗の進出で苦戦しています。
また、町は、重点事業として生涯学習事業に取り組んでいます。取り組みを紹介しますと、児童を対象に夏休みに10冊以上の本を読む「読書マラソン」を行っていますし、新春には「子ども議会」、中学生には「海外交流事業」で毎年オーストラリアへ先生と生徒を24名派遣しています。高校生には「青春シンポジウム」を行い、生徒と意見交換をしています。また、町民対象として「紀南人材センター」の協力を得て「まちづくり塾」を行っています。この塾は、紀南地方出身者の著名な方々に講師をお願いして、約1時間の講演と、その後、講師と塾生が意見交換する形式で進められ、地方のことだけで無く、国際的なことも知ることが出来る、意義のある塾となっています。 
次に、スポーツを通じて交流人口の増加(観光事業)にも力を入れています。例えば、毎年2月には、「紀州口熊野マラソン大会」を開催しています。このマラソン大会は全国から約4千人の申し込みがあり、紀州路を楽しみながら出走してくれています。5月にはプロ野球の阪神球団のお世話で「ウエスタンリーグ」を開催し、本年は、阪神対中日の試合が2試合行われました。試合後は阪神球団の選手により、近隣市町の野球少年を対象にした「野球教室」も実施され、プロ野球選手から直接指導を受けることが出来て野球少年達の楽しみになっています。夏場には近隣の府県少年サッカーチームを招いて交流サッカー大会も行っています。結果として、大学等のクラブ活動の合宿が行われて、スポーツによる町づくりにつながっています。
このように、色々な事業で町の振興に努めていますが、「三位一体の改革」で平成12年に特別交付税も含めた地方交付税が約23億5千万円あったものが、平成21年度決算では約17億円に減額となり財政的には非常に厳しい状況です。また、上富田町は「市町村合併」についてハガキによる住民意向調査を行い、結果として「単独での町づくり」を進めることとなり、そのことを踏まえて単独行政運営が出来るように行政改革を進めています。職員に「先ず、職員自身が身を削って行うことが行政改革の成功につながる」と理解を求め、職員数161名から120名に減員することを職員に説明して、退職者数補充を毎年3~5名の採用にとどめた結果、平成22年度当初に120名となりました。また、連動して、議会議員定数も18名から12名に、農業委員会委員も15名より10名に減員、町消防団も協力してくれ、団員数は現状の140名とするが報酬カットを自主的に行ってくれました。
町民の皆さんがこれらの取り組みを理解して下さり「敬老行事経費」を始め各団体の補助金の削減をすることが出来た反面、高齢化率は県下で2番目と低いが医療費や介護費負担が近年、予想以上に支出が多くなり、町の財政が好転しないことが心配事の一つであります。
今後もより一層の行政改革を進める必要があり、良い事例があればご指導を頂けるようお願いして、ペンを置きます。