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 「元気なまち」をめざして

印刷用ページを表示する 掲載日:2009年2月9日

外界離島の首長として

鹿児島県知名町長  平安 正盛


町長に就任してから本年12月に3期12年を迎えることとなります。役場職員の25年間の約半分でありますが、この12年は一瞬のうちに過ぎてしまったように思えてなりません。

公債費の増嵩に伴う公債費適正化計画にはじまり、市町村合併の流れ、三位一体の改革による地方財政の疲弊化、そして地方分権・行財政改革の推進など地方を取り巻く厳しい環境にあったせいでしょうか。

職員時代には想像もしなかった、できなかった現実に直面し、政治・経済の動きに翻弄されながら、町民に支えられながら今日まで町の舵取り役として責務を果たせたものだと思います。

知名町を紹介いたしますと、知名町は鹿児島県本土から約600キロ南下する「奄美諸島」の1つ、沖永良部島にあり、面積約53平方キロ、人口約6,800人の町で、農業を基幹とする産業構造であり、サトウキビを中心に花卉、バレイショ等の輸送野菜、葉たばこに加えて畜産の複合経営体が中核をなし、特に「花卉」についてはテッポウユリ・グラジオラス・ソリダコの主要品目は国内の相場を左右するほどの量を有し、沖えらぶのブランドとして好評を博しており、本町の農業を大きく支えている作物であります。

また、沖永良部島は隆起サンゴ礁で形成されており、その関係で島内にはいたる所に鍾乳洞が有り、中でも観光用に公開している「昇竜洞」は規模・景観において東洋一ともいわれ、地下の神秘的な世界に皆さんを誘います。

こうした事から、本町は「花と鍾乳洞の島(町)」をキャッチフレーズに観光のPRにも取り組んでおり、町営の国民宿舎「おきえらぶフローラルホテル」を拠点に、豊かな自然と歴史的に深い関わりがある琉球文化や、マリンレジャー等が体験できるように受け入れ体制を整えております。

ところで、先述したように本町は外海離島の「奄美諸島」の1つ沖永良部島にあり、台風銀座といわれるように夏季の台風常襲、干ばつ、冬季の季節風による波しぶきの塩害等、極めて厳しい自然条件の下で、基幹産業である農業振興に向けた諸施策を講じる必要があり、また関西・関東など大消費地から遠隔の地にあり、農畜産物の鮮度や輸送費の課題等もあり、加えて離島であるが故に宿命でもある離島物価高をはじめ、交通通信体系の整備等も住民生活に大きく影響しております。

また、島であるが故に住民の生活全般において、「島内完結型」の行政サービスを講じる必要があり、それがために行政コストも高くついているのが現状であります。特に、人口規模の小さい自治体にとっては、そのコストは高く、脆弱な財政をさらに圧迫することになります。

陸続きであると、周辺の複数市町村との広域化で各部門ごとの分担をし、連携することで、行政コストの低減化が図られるものだと思います。

幸いに、沖永良部島には本町と和泊町の2町があり、消防・救急業務をはじめ介護認定審査、ゴミ処理、火葬場、島内バス運行事業、火葬場等については一部事務組合を組織し、コストの低減化に努めているものの、数多い行政サービスの一部に過ぎません。

ならば、いっその事、「市町村合併すれば」と言われますが、単に財政事情のみで合併となると、地域住民の理解を得るのが難しく、沖永良部2町も合併協議会を立ち上げ、様々な角度から協議を重ねたが、結果は実現に至らず協議会は休止の状態となっています。

合併を選択しなかった以上、行政コストが高くついても、単独の道を選択した住民の意向や行財政状況等を踏まえ、外界離島という条件不利地域の宿命を負いつつ、住民の福祉の向上と地域産業の発展を図るための取り組みをする必要があります。

それにしても、離島といえどもそれぞれの個性があり、また外界離島は内海離島と様々な違いがあり、その条件不利性は格段の開きがあるものだと思います。

また、私ども奄美諸島は長い歴史の流れの中で、薩摩や琉球、米軍そして現在の鹿児島県といった帰属の歴史の変遷があり、近い将来には九州なのか、沖縄なのかの「道州制」導入で、何れかに帰属することになるでしょう。

いずれにしても、外界離島は単にそこに住民が生活を営んでいるということだけではなく、また農林水産業の生業を通して国土保全の役割を担い、さらには領海・経済水域などといった海洋の分野からも、外界離島の果たす役割は計り知れないものがあります。

このように、国境離島として、外界離島の果たす役割は極めて大きく、多分野に多くの関わりを持ち、領土保全の観点からしても重要な位置付けをしていただき、住民生活の保障や農林水産業振興の支援を拡充すべきものだと思います。外界離島に住む住民のみが高い行政コストを負担するのではなく、国土そして領土を守るという観点から、国政の立場で支援を望むものであります。

以上、思うがままに申し述べました 拙文を寄稿いたしました。ご一読の上、ご教示頂ければ光栄に存じます。