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 夢・「寝たきり老人0の町を目指して」

印刷用ページを表示する 掲載日:2008年3月24日

千葉県大多喜町長  田嶋 隆威


本町は、千葉県の房総半島のほぼ中央房総半島を横断する国道465号、又縦断する国道297号が町の中心部でクロスをし、県道、町道がほぼ全域に整備され全方向性の道路網を形成していると共に、JR外房線大原駅より本町の七つの駅を通るいすみ鉄道が私鉄、小湊鉄道を経由し内房線五井駅を結ぶ、まさに外房と内房の結節地域、交通の要衝としての重要な位置づけにあります。そして総面積130平方㎞の県内の町村では最も広大な町域をもつまちで森林が面積の70%を占める輝く緑に包まれたまちです。
また清澄山系に源を発し、太平洋へ注ぐ夷隅川や、東京湾に注ぐ養老川そしてこれらの支流が町内の谷あいを流れており、地理的条件とも相まって美しい渓谷を形成しており、特に養老川沿いの養老渓谷は、県立自然公園に指定をされ、自然美あふれる優れた景勝地として広く知られております。また本町の歴史は古く多くの遺跡をはじめ、天正18年(1590年)、徳川家康関東入国を契機に徳川四天王の一人、本多忠勝が近世大多喜城を築城し、以来300年にわたり「房総一の城下町」として繁栄を極め、名実共に上総文化の中心地となった歴史をもつ、ロマンあふれる歴史、文化のまちです。現在の大多喜城は千葉県立総南博物館として再建をされ、本町のシンボルとなっているとともに、商家や蔵、家並みなど城下町の歴史を物語る事物が数多く残されております。また現在でも県の出先機関や、県立高校、私立大学等があり、この地域の行政、情報、教育、文化の拠点としての役割を担っております。
この様な緑豊かな歴史と文化の佇まいをもつ本町ですが、昭和30年に旧5ヶ町村が合併をし、また当時には18,000余名の人口が、現在では11,000と大幅に減少し、国や千葉県を大幅に上回る勢いで少子化・高齢化が進み、本格的な超少子・高齢化へ移行しております。私自身も、昨今の運動不足を痛感し、毎朝のウォーキングで自己満足ながら、日頃の不摂生に立ち向かっております。 
折しも千葉県の「健康づくりふるさと構想」を基にモデル事業として手をあげ、運良く指定を受け「健康づくり教室」「健康生活コーディネート事業」として、中高年を対象とした地域住民の健康づくり事業を実施することが出来ました。ここに至るまでには様々な段階を経てきたことをお話します。
私は高齢化の町と云うことで、住民が健康で明るい地域づくりが本町に課せられた重要な課題であると認識をし、「寝たきり老人ゼロ運動」を目指し、先進地である茨城県の大洋村へ町の行政連絡員一行と見学、研修をさせていただき、改めてその素晴らしい実績とその成果に感銘を受け、本町でもやれる範囲の事を、早速取り入れようとこの事業を立ち上げました。
また本町には町の特別養護老人ホーム(定員80名)を運営しており、入所者も年々寝たきりの方が増えている現状もあり、これ以上寝たきり老人を増やさないとの強い思いが事業を取り入れることにもなったと思います。そして経済産業省のモデル対象に指定され、健康生活コーディネーターの派遣、運動機器の設置、運動情報システム基本部分の利用料金、事業運営にかかるコンサルティングに全面援助を受けることができ、住民には健康づくりは自分のために行うことを理解していただき、受益者負担のしくみをつくることで、参加費をいただき、スタートしました。平成16年より募集を開始し、一期生84名・15ヶ月で、体力テスト・メディカルチェックの結果から、週2回の施設及び週3回の在宅プログラムによる個別運動プログラムを提供し、9ヶ月後の評価では参加者の平均実年齢66.8歳、体力年齢は56.87歳で、10.22歳若返ったとの報告があり、現在では町単独事業として継続、一期生からの継続率47.6%であります。
これからもより多くの方々に参加をしていただき、医療制度改革の一環として、平成20年から特定健診保健事業が始まるにあたり、地域の健康づくりの資源として、有効に活用される事業として推進をしていきたいと考えています。