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 クリーンアイランドを目指す町・住民が主役の町

印刷用ページを表示する 掲載日:2007年5月21日更新

東京都八丈町長  浅沼 道徳


八丈町は、東京の南方海上287㎞にあるひょうたん型をした八丈島と、そこから北西7.5㎞にある無人島の八丈小島の二島で形成されております。
八丈島は面積69.52平方kmで、富士火山帯に属する火山島であり、南東部を占める三原山(700.9m)と北西部を占める八丈富士(854.3m)から成り立っております。
気候は黒潮暖流の影響を受けた海洋性気候を呈し、年平均1.18℃、高温多湿で雨が多いのが特徴です。
産業は農業(花き観葉植物栽培)と沿岸漁業を基盤としています。商工では焼酎やくさや加工、伝統的工芸品の黄八丈織などのほか、各種の観光関連サービス業が中心となっております。 
八丈島は、江戸の昔より流罪の島として有名で、絶海の孤島のイメージを抱く方も少なくないと思いますが、今やジェット機が日に3便往復し、八丈島-羽田間の所用時間はわずか45分となりました。
町長として、様々な施策に取り組んでおりますが、今回は2つの町づくりについて述べたいと思います。
クリーンアイランドを目指す町
八丈島の厳しい自然環境は、快適さにほど遠いイメージでしたが、今や無限の恩恵を人々にもたらす可能性を秘めております。全国の離島で初めて、東京電力による地熱発電所が平成11年3月に運用を開始し、また平成12年3月に同敷地内の風力発電施設も運用を開始いたしました。地熱発電(3,300kw)と風力発電(500kw)はベース電源として運転を行い、足らない部分をディーゼル発電機によって追加運転させております。
また、地熱発電所で発生する熱は、農業にも利用しております。発電所でタービンを回した後、熱交換器で暖めた温水を、温室団地に配湯し、冬場の加温に使います。温室では、熱帯性の観葉植物が栽培されており、花き園芸の新たな展望が開けました。
島内は、温泉が豊富で、町営の温泉浴場が5ヶ所(そのうち足湯が1ヶ所)、自治会が運営する温泉浴場が2ヶ所あり、島民や観光客の健康増進に寄与しております。
石油資源の枯渇や地球環境が盛んに取り上げられている昨今ですが、八丈町では「クリーンエネルギーのモデル島を目指して」をキーワードとして様々なクリーンエネルギーへの取り組みを実施しております。
住民が主役の町
船便で東京-八丈島間が10時間もかかる八丈島にとって、航空便は生命線であります。これまで、東京-八丈島間の航空運賃は値上げを続け、平成17年9月まで往復運賃が25,500円でした。町民の声を受け、度重なる交渉の結果「平成17年10月1日から平成18年3月31日の間、航空運賃が大幅に値下げされ、片道10,600円となりました。しかしそれは、この間の利用者を対前年比1万人増加させなければ、元の料金に戻すという条件付きのものでした。そうした状況下でプラス1万人に向けた様々な取り組みが展開されました。
八丈町では、プラス1万人に向けた各種イベントの実施や誘致策、また島民からのアイディアの受け皿として、庁内に「+1万人推進室」を設置し、関係情報の収集及び島民の方々との連携を図りながら、利用者に温泉無料&サービス付パスポートを空港で配布したり、また地域商品券の発行、フォトコンテスト、特典付絵はがきによるPR、島内外ツアーの計画、大島体験学習などを実施しました。
その結果、条件を見事クリアし、料金は据え置かれることになりました。期間中は、島はプラス1万人達成への気運で盛り上がり、官・民が一体となって波を起こした成果でもありました。 
このように八丈町では、職員だけではなく、企業や住民組織と協働し、知恵を絞り、汗を流し、これからも魅力ある「住民が主役のまちづくり」を、展開していきます。