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 私の挑戦-職員の意識改革と協働のまちづくりめざして

印刷用ページを表示する 掲載日:2007年1月15日

沖縄県南風原町長  城間 俊安


南風原町は、沖縄本島南部のほぼ中央に位置し、県都那覇市に隣接しています。周りを6つの市町村に囲まれ、四方を海に囲まれる沖縄本島にあっては唯一海に面していない町です。
私はこの町で生まれ、町議を経て平成10年5月に町長に就任、現在3期目の町政を担わせていただいております。就任間もない時期は、町民の皆さんにお約束した数多くの公約実現さらにはその芽だしに向け、その責任の重さを痛感しながらの執務は、毎日が緊張の連続でした。2期目は、地方分権の動きが進展する中、三位一体改革による厳しい財政状況下で、全国的に市町村合併がクローズアップされ、議論が活発に行われた時期でした。本町においてもまたしかりで、合併か自立かで揺れ、近隣町村との合併協議会設立までは至りましたが、最終的には協議会は解散、自らの判断で自立の道を選択することにしました。私は3期目の挑戦に際して、これからのまちづくりは町民との 協働 が欠かせないことを強く訴えてきました。 
再選後、直ぐに総合計画を基本構想の段階から町民との協働による策定を行うよう指示し、手始めに「職員が自前で作れないか」という課題を投げました。本来なら、これまで第1次から第3次の策定経験の蓄積により誰の手を借りずとも職員が自前での策定も可能であるはずです。しかしながら私の与えた課題に対し、関係課で議論をした結果、今回は準備期間が短いことで自前での策定は見送ることになりました。ただし従来の手法ではなく、策定の期間を次の計画策定への研修期間として捉え、次回の見直しからは職員が自前で作るという姿勢で取り組むということを確認いたしました。その意気込みはコンサルタントの選定からあらわれました。これまでコンサルタント主導と言われることもありましたが、今回は徹底的に内部で方針を議論し、一から作り上げてきました。役場が主導し、コンサルタントはパートナーという考えです。 
さらに私が掲げているもう一つの重要なテーマが前述しました住民との“協働”です。本町の将来を方向付ける総合計画が、より町民に親しまれるよう、また分かり易いよう、作る過程から積極的に町民の皆さんに関わっていただくことです。決まったことを町民に報告するのではなく、決まる過程から地域に積極的に出向き、そして町民と一緒になって考え、悩みながら共に作り上げていく、この職員の姿勢こそが大切だからです。総合計画の策定方法については、職員アンケートも実施し、より現実的な手法を作り上げました。こういう手法が定着すると、より多くの住民・職員が総合計画を「意識」することにつながると確信しております。こうしてできた本町の第4次総合計画は、地方分権時代に対応する自分達のまちは自分達でつくるという自己責任、自己決定の原則により、計画づくりを白紙の段階から全員公募による多くの町民と町外から参加した皆さんや職員によるまちづくりプロジェクトチーム並びにワーキングチームから成る住民会議のメンバーで素案をまとめました。
素案策定に当たっては、①総合計画に町民が関心を抱けるようにする、②職員が現状以上に総合計画に関心が持てるようにする、③行政内、および町民が評価可能な総合計画にするの3点を意識しながら約1年半の歳月をかけ段階的に進めてきました。
現在、総合計画は審議会より答申をうけ議会の特別委員会で審議中であります。策定後の総合計画を実効性あるものにするため、今こそ職員の「意識の改革」と「実行性」が求められている時はありません。今日の町政は、様々な課題に直面しているにもかかわらず、その状況を真先に認識すべき役場の危機意識が極めて不足しており、私は、役場全体の意識改革の必要性を痛感しています。3期目の初年度にあたり、私は職員の皆さんに時代の変化を敏感に察知し、新しい時代を先取りできる体質に改善していかなければ、この厳しい状況を乗り切るのは困難だと訓示いたしました。
こうした観点に立って、これからの厳しい財政運営の中で、本町を拡充させていくには、町民の自主的な行動のもと、町民・地域と行政が良きパートナーとして連携し、それぞれの知恵や責任において 町民との協働によるまちづくり に取り組むことです。そのためには、情報公開をいっそう進め、積極的に行政が持っている情報を開示し、町民に知らせていく姿勢が求められてくると思います。このような姿勢が拡大していくことによって職員の意識も変わってくると思います。役場は最大のサービス産業であり、職員の皆さんには町民の奉仕者、公僕という立場を忘れず、町民から信頼される職員像をめざし、日々の執務に励んでいただきたいと思います。私はその先頭に立ち、町民から信頼される役場づくり、信頼される職員の育成に努めてまいります。