長崎県時津町長 平瀬 研
町長に就任して7年目に入りました。長崎県内に71あった町村も10町になり、時の流れを感じています。
就任当時、「町長として経験豊富な先輩方に並ぶことはできませんが、働きがいのある職場環境を作り、職員の能力を引き出し、活気ある時津町役場を作ることはできる。」、このようなことを書いていました。
行政経験はありませんでしたが、今までの社会教育活動・地域活動を通じて職員の多くを知ってはいました。しかし、いざ相手が町長ということになると、「言いたいことがあったら何でも遠慮せずに言え。」と言われても、そうそう言えるものではありません。
長崎市内での会合の帰り、二人の職員と出会わせました。課内の歓迎会の後、はぐれてしまったという二人と、近所のスナックで二次会になりました。最初は良かったのですが、飲むは踊るは、段々とエスカレートしてきました。支払いだけ済ませて、そっと先に帰りましたが、それにも気づかずその後も相当頑張ったそうです。これが遊びの始まりでした。
本町では、通年講座として公民館主催による高齢者教室を開催しています。初回のテーマは「町政について」と毎年決められていますが、町の事業が目に見えて進むわけではなく、高齢者福祉は落ち込む一方で、原稿を作り上げてみると昨年と変わりばえしません。そこで落語研究会出身の若手女性職員に助っ人をお願い(命令)しました。「オレオレ詐欺」と「町の良さ」を題材に拍手喝采、主役の座を奪われてしまいました。会場の後押しで、打ち上げにはフレンチを予約させられてしまいました。ちなみに今年の助っ人は、居合の達人が登場してくれます。
平成12年に旅費を見直し、同時にその一部を原資に自主研修制度を予算化しています。課に関わりなくチームを組み視察研修ができます。また、一定の要件を満たせば海外も可能ということになっています。
西びわ湖ペーロン大会の運営についての研修のため、日頃から地域活動でも頑張っている職員三人と参加しました。第1回大会開催に際し、本町の保存会がペーロン船持参でお手伝いした経緯もあり、歓迎を受け交流をさせていただきました。帰りは加茂川の川床料理で東山から昇る満月を見上げながら、ペーロン大会の運営・町の目指すべき姿を議論したように思います。
圧巻は課長二人とトップセミナーに参加した時です。職場には目に見えない蓋がいくつもあり、血流を良くするためには、その蓋をこちらから開く必要がある、「その担当を命ずる。」、が研修の目的です。両課長の希望で夜はお台場で食事、酔いが回った二人を抱えて赤坂のホテルまで、着いて目覚めたところでラウンジでのワイン、高い代金を払わされた挙げ句、翌朝「あと一カ所予定していますので町長はお先にどうぞお帰りください。」です。決して許されるものではありません。しかし、今でも常に意識して蓋を開ける役を十分に果たしてくれています。
自治会長研修の折り、事務局を務めた職員と別府の夜の町で、県下一周駅伝で惜しくも区間賞を逃した職員と銅座の町で、下水道課長と下呂温泉で、福祉係長とはオスロで、キャバクラ専門の課長補佐、消防団の宴会で飲みつぶれて町長に送らせた新人職員、道の日での清掃、ソフトボール大会の打ち上げなど、その度に職員の「武勇伝」に出会います。
遊びはさておき、仕事は更に真剣です。研修の参加率は県下で群を抜いており、一年で文書管理を完成させ、机の上を滑走路にしてしまいました。事業評価を効果予測システムに発展させ、おかげで予算査定の出番がなくなりました。キックオフから4ヶ月、ISO品質マネジメントの認証取得が終わります。
情報の公開、効率的な事業推進、質の高いサービス、健全な財政、そして遊び心、住民に信頼される役場を目指して「武勇伝」はまだまだ続きます。