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 キラッと光るまちづくりを目指して

印刷用ページを表示する 掲載日:2006年3月6日

キラッと光るまちづくりを目指して

北海道蘭越町長  宮谷内 留雄


「町長さん、キラッと光るまちづくりをしてくださいね」-これは、12年前に、札幌市で開かれた札幌地区蘭越ふるさと会(第4回)の席で、本町出身の女性が私に握手しながら掛けてくれた言葉である。

これまでも、このようなふるさとへの思いを語る言葉に触れるたび、故郷を離れて久しい人たちの「ふるさと蘭越町が、いつまでも豊かなまちであっていてほしい」という思いに心を熱くし、そして私たちが普段忘れかけている蘭越の魅力に気付かされるのである。

雄大なニセコ連峰の山々、清流日本一の母なる尻別川と広大な田園風景、河口に広がる真っ青な日本海、泉質・湯量とも豊富な7つの温泉郷……、蘭越の自然は、他に誇って劣らぬ美しさを有している。

また、農業を基幹産業とする我が町は、地の利、水の利に恵まれ、メロン、アスパラ、イチゴ、トマト、かぼちゃ、馬鈴薯などは、どれも一級品。中でも産米は食味に優れ、良質な「蘭越米」として高い評価を得ているが、農業を取り巻く情勢はますます厳しさを増し、農業者は不安を隠せないでいる。

さらに過疎化、高齢化、後継者不足も例外ではなく、いかに自然が美しく、人々の心が清らかであっても、それだけではまちの発展になかなかつながらない。彼女の言った「キラッと光るまちづくり」の手がかりは何かと考える日々である。

本町は、北海道西南部の後志管内で最も面積が広く、中心市街地のほかに大きくは4つの地域が形成されており、私は町長に就任以来、住民に対する積極的な情報の提供と対話を通じて、各地域の均衡ある発展に重点を置いたまちづくりに真剣に取り組んできたつもりでいる。 

その中で、私がまちづくりや地域経営において最もおそれていることは、過疎化や高齢化の中で勢い市町村合併が進み、住民がその時流に呑み込まれ、夢や希望を失い、無気力になったり、あきらめの気持を抱いてしまうことである。

市町村合併に対する取組は、本町の最重要課題として、大きなエネルギーを費やし、幾度も議論をした。住民も、議会や行政も膨大な労力と時間をかけて、多くの議論を重ねることによって、将来のまちづくりへの意識が高まっていった。この機運を大事にしなくてはならない。そして、結論を早く出したい気持ちにも駆られたが、まちづくりに焦りは禁物と何度も心に言い聞かせた。 

結果は、住民の意思を直接問い、それを最大限尊重するかたちで、5町村による法定協議会から離脱したのである。

私の地域経営に対する基本的な考え方は、過疎化や高齢化などの共通課題を逆手にとったまちづくりである。それには、単に人口が減るとか若者の流出などを尺度としない物差しが必要であり、人口が少なくても、住んでいる地域を大事にして、住んでいる人が誇りを持って生きていけるようなまちづくりを目指すのである。

そのためには、このまちの歴史を顧みながら、地域の資源を掘り起こし、そして将来を見通し創意工夫に富んだまちづくりを進めることが必要と考えている。 

言葉や理屈だけでは、この厳しい状況を乗り越えていくことはできない。そこには、まちづくりの思いを一つひとつ形にしていく地道な実践が必要である。

また、ハード面でも、住民の拠りどころとする形をなすものが必要と考えている。

私は、これまで、まちの総合計画に基づき、4つの戦略プロジェクトの実現を進めてきた。海との関わりを活かした貝の展示館の建設、国道沿いの小高い丘でのアイスクリームの製造販売、都市と農村の交流の場としての休憩・宿泊施設、豊富な湯量をたたえる大湯沼周辺の開発、高齢者生活福祉センターの整備(2箇所)、花の町をイメージした駅前開発などはその一例であるが、子供から高齢者までが、このまちに愛着を感じ、豊かさと誇りを持ってほしいと思っている。 

私自身の中でも新しい面もあれば古い面もあり、心の中で日々戦いがある。

私は、町長室のよく目に付くところに、「苟日新  日日新  又日新」の言葉を掲げ、精進を怠らないよう心がけている。 

「キラッと光るまちづくり」-これは、私にとって、まちづくりの大切なキーワードであり、永遠のテーマである。