ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 町村長随想 >  村づくりへの理念は「元気」

 村づくりへの理念は「元気」

印刷用ページを表示する 掲載日:2005年2月14日更新

鹿児島県町村会長職務代理者
宇検村長
 元山 三郎


私の村、宇検村は、標高694メートルの奄美大島最高峰「湯湾岳」と、全天候型の良港「焼内湾」を有し、まさに海と山に囲まれた人口約2,200人の過疎の村です。このたび町村会より「随想」執筆について依頼を受け、我が村を全国へ発信する絶好の機会であるととらえ、筆を取らせていただいた次第です。
鹿児島から南へ383キロメートル、エメラルド・グリーンの神秘な海に囲まれた島「奄美大島」の南西部に位置し、そのたたずまいから「奄美の奥座敷・宇検村」と言われております。
先程の「湯湾岳」の頂上一帯は、国定公園に指定され、奄美で最も自然の豊富な村であります。国の天然記念物であるアマミノクロウサギ・ルリカケス等々、世界に誇れる動植物が数多く生息している地域であり、「人と自然との共生」をテーマに、森林資源の有効活用に取り組んでおります。
又、「焼内湾」は風光明媚な恵みの海であり、そこでは黒マグロ、車エビ等を初めとする養殖漁業が営まれ、本土の各市場への出荷で賑わっております。雇用の場として、台風時の避難港としても重要な役割を果たしており、まさに宝の海です。
それと、私が最も誇りとしている事は「村民性」です。住宅・水道等の使用料が100%完納され、他の税収等も高い納税率を上げている事は他の自治体の範であり、奄美の諺で宇検村民を総称して「エーチ・ボレモン」と言っております。その意は、素朴・勤勉・争い事を好まない・正直者と言う事であり、本村開びゃく以来の精神文化の伝統が、今でも脈々と引き継がれていると言うことでしょう。
さて、私は村長に就任して4期半ばを迎えましたが、1期目から共通している政治の理念は、我が村の「元気」がテーマです。そのための具体的な施策のいくつかを紹介させていただきます。
その一つに就任早々、本村の香り高い、貴重な文化を後世へ伝えようと言うことで出版事業を始めたのです。その時、私の後援会の有力者からそんな文化事業などしたら、次の選挙で落ちてしまうので、やめて橋の一つでも造った方が得策であると、アドバイスも受けましたが、あえて挑戦いたしました。現在では、山・海・自然・文化の四編を出版し、現在、奄美を世界自然遺産登録へとの気運が盛り上がっておりますが、その先導的役割を果たしたと内外から高い評価をいただいております。
また、毎年夏休みを利用して、青少年の国際性を高める目的で、中学2年生5名を対象にアメリカへホームスティに派遣し、青少年に夢を与え、村づくりの柱は人づくりであるとの考えに立って、小さな村の「元気」の効果を期待して実施しております。
本村には、農業基盤整備後の農用地の休耕地が多く見られ、これを解消しなくては、村民の村づくりへの気運も見られないと言う事で、奄美の基幹作物である。"サトウキビの振興なくして発展なし”を合言葉に植え付けを奨励し、現在では18ヘクタールまで面積が拡大されました。そのために、第三セクターによる「元気の出る公社」を設立して、現在では黒糖焼酎(れんと)の原料として、製品づくりまでの一貫体制が確立出来た事は、村民の大きな喜びであります。
本村に於いては、既存の企画課を課名変更して「元気の出る課」とし、全国的にも珍しい課名と言う事で、中央のマスコミ等からも注目されました。この様に小さな村であるがゆえに、村の個性や地域の特性を発揮し、過疎・高齢・少子化と閉塞感のただよう中で、我が村の活性化に向けて村民それぞれが知恵を出し合い、「人が元気・村が元気・自然が元気」の、3つの元気をキャッチフレーズとして、地方の時代にふさわしい、個性あふれる、村づくりを村民と共に進めてゆく所存です。
終わりになりますが、宇検村には長い歴史にはぐくまれた、尊い文化遺産と自然が数多くあります。「全国の皆さん、元気との出逢いのため、一度は奄美へおいで下さい。」