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 わが町のコミュニティ活動

印刷用ページを表示する 掲載日:2005年1月31日

茨城県三和町長  舘野 喜重郎

  
最近の国内ニュースで話題になるのは、政治面では三位一体の行政改革そして社会面では殺人、振り込み詐欺等の凶悪事件である。いずれも明るい話題ではない。特に、凶悪事件はどこまで行くのかとどまる所を知らない。
日本古来の社会秩序や日本人の道徳観念の崩壊であり、由々しき問題を投げかけている。
戦後日本は、敗戦の中から立ち上がり、 10数年にして復興の兆しが見え、20年から30年を経て予想を超える高度経済成長を成し遂げた。豊富な資源、大量生産、大量消費の社会に突入してまさに世界に冠たる栄華を極めた。
驕(おご)れるもの久しからずとは源平の時代ばかりではない。華やかなりし昭和末期の時代は露と消え、平成の不況は日本全土に物心両面から大きなつけを残した。その結果生じた現象が、今話題の三位一体の行政改革と凶悪事件の増加ではなかろうか。
NHKでは「ご近所の底力」と題して、地域のいろいろな難問解決にご近所交流の中から生活の知恵を引き出して解決した例を紹介している。
また、当茨城県においても地域の安心安全や環境改善等に住民の連帯意識を深めさせ、地域づくりを支援しようとご近所の底力再生事業に助成金を出すことになった。いわゆる、地域住民の相互扶助づくりである。これは江戸時代から古く地域に根付いていたものだが、戦後は殆どの地方で消滅してしまったものである。
そこで当町のご近所の底力現代版を紹介してみよう。
当町では、平成5年度に小学校区を単位にコミュニティ活動を推進する新しい組織を作った。この組織は地域住民相互の交流の中から地域のさまざまな問題について自主的に解決を図り、連帯意識による新しい地域社会の創造を目的としている。
年間の行事は各コミュニティ単位によって多種多彩、4月の総会でその年の役員や年間行事計画を立てる。地域の環境整備や清掃、自主防災、救急救命訓練、親子ハイキング、夏の盆踊り、花火大会、3世代交流のレクリェーョン、スポーツ大会、商店街のスタンプラリー、クリスマスのサンタ宅配便、敬老の年越しそば会等々、各季節にあった交流の場を設けて地域住民のふれあい、語り合い、助け合いを合言葉に、地域内住民の絆を強くしている。
また、最近は地域の防犯目的に犬の散歩や外出時の車での防犯パトロール、学校の週5日制による土曜日の週末支援活動等にコミュニティが協力し大いに活動の場を広げている。
当町は昭和50年代以降宅地開発が急速に進み、人口2万から4万に倍増した。そこで新旧住民交流の場としてコミュニティ活動が大きな成果を挙げ、現在これが地域活性化や防犯に大きく寄与している。
今後市町村合併が進む中で、地域コミュニティ組織の活動はますます重要になるものと思われる。