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 リフテーションタウンの実現に向けて

印刷用ページを表示する 掲載日:2003年7月21日

佐賀県嬉野町長  谷口 太一郎

新聞社勤務26年を経て、町長就任。民間から行政へ。とまどいながらも全力投球の日々を重ねて3期目を迎えました。地方分権を確かなものとするため「より早く、新しく、優しく、たくましく」をモットーにまちづくりをおこなってまいりました。しかしながら市町村合併問題が緊急の課題となり近隣の1市3町で法定合併協議会を発足させました。それぞれの市町の歴史伝統を尊重し、理解し合う基本姿勢を堅持しながら新しい自治体づくりに取り組まなければなりません。互敬互譲こそが合併成就のもとと訴えています。本年春に全国各地で合併による新自治体が誕生されました。先進自治体の皆様方の知恵も是非いただきたいと思います。
本町は佐賀県西南の県境の町で人口1万9千人。町の中央を旧長崎街道が横断しています。第4次総合計画で「元気になる、元気にさせる町」を目標としてまちづくりに努力しています。私のまちづくりの目標はリフテーションタウンの具現化です。リフテーションタウンは私の造語で「リフレッシュ」、「ステーション」、「タウン」の合成語で本町全体に清新さを体感できるソフト、ハードの事業を展開しネットワーク化を実現することを目的としています。今あるそれぞれの産業を活性化し保健、福祉施策と融合させることで完成へ近づきます。
昨今全国各地区からリフテーションタウン構想についての行政視察に多くの方々にお出かけ頂いています。施策の清新さにご評価もいただいているようで、今後も努力を重ねてまいります。施策の核となる産業振興についてリフテーションの施策を取り入れ変化をみせてまいりました。本町の産産業の柱は温泉、お茶、陶磁器で、近隣でも特筆される産業を有しています。歴史書肥前風土記にも記されている温泉は1200年。我が国の釜炒り茶のルーツと伝えられるお茶が500年。国内で最初に発見されたと伝えられる磁鉱石に由来する陶磁器は450年の歴史を誇ります。日本三大美肌の湯と自称いたしております温泉については、歓楽街を中心とした短期宿泊型から健康保養の滞在型温泉観光地への脱皮を目指しています。
平成10年に旧厚生省の「健康文化と快適なくらしの町創造プラン事業」の指定を受けました。指定を期に健康保養地づくりに取り組んでいます。本町が国内で最初に開催した民活機構との共催による温泉療養フォーラムは今や全国各温泉地で継続して開催されています。温泉療養が国内に定着しヨーロッパ型の滞在型温泉利用が定着してくれることを期待しています。近い将来国内でも温泉利用が医療保険適用となり誰もが気軽に療養目的での温泉滞在が体感できるよう皆様のご支援をお願いします。
お茶につきましては生産履歴の記録を生産農家に実践していただいています。町内の茶農家には年間を通じた茶栽培製造記録をパソコンにより一括管理をお願いしています。日々の茶園での作業から茶工場での製造仕様まで瞬時に開示できるシステムとなっています。今年の一番茶取引においても茶市場において落札された商社の方々に提供できました。日々の生産製造履歴記録の努力が安全で安心できる嬉野茶ブランド確立につながると信じています。
陶磁器については東南アジアを中心とした輸入食器との競争に加えバブル崩壊後の国内景気の低迷による割烹食器の価格低迷で苦労の日々が続いています。若手の窯業後継者を中心にデザイン研究会、作品発表会、物産フェアなどに参加しての消費者の動向調査など積極的な対策が序々に成果を上げています。伝統的な陶磁器産地として生産技術については高度なものを育成してきた町で、異業種交流の実践の場でもリーダーとなり家庭用食器以外の分野への展開も始まりました。インテリア関連、セラピー関連の陶磁器など以前の産地だけでは取り組めなかった製品も誕生しており今後に期待しています。
地方においては、長引く景気低迷の打破に特効薬は見つかりません。しかしながら伝統的な産業の特性を生かし保健、福祉との施策がうまく融合すれば新しい分野での民間との協働が可能になります。早期に成果をもとめうる事は望めませんがリフテーションタウンの実現にむけ努力を続けます。