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 高踏勇退

印刷用ページを表示する 掲載日:2003年3月24日更新

静岡県町村会長 竜洋町長 池田藤平

昭和62年4月初当選以来、4期16年、町づくりのコンセプトとして、「水と光と緑のまち」、」「文化の香り高い、公園工業都市を目指し、町づくりに励んで参りました。

この間を振り返ってみますと、私の就任早々既に新年度予算で建設が決まっていた、屋外クレーコートのテニス場を白紙に戻し、天候に関係なく利用できる、屋内の人工芝に砂を敷く4面のテニスコートに変更したことです。更に就任の挨拶に国の出先機関に出向いた時、先方はお祝いの意味もあったのでしょう、我が町最大のプロジェクトである、中央公民館ホール、図書館、健康保健センターの3館複合施設建設の補助金が付くと告げられました。自分の知らないところで、建設場所迄も決まっていると聞き、驚きと戸惑いで飛び上がってしまったが、このチャンスを生かし、後々迄も町の誇りとなる施設にしなくてはと考えました。

保健センターは性格の異なる施設だから、これを外し、2館併設の複合施設は、建設場所も駐車場の確保が難しいからという理由で変更、国の設計補助金が決まっている単年度の中で大きな変更決定をした。愈々本格設計に入り、打合せの中で色々な注文を付けました。まず第1に今迄に何処にでもある、足音を忍ばせて歩かなくてはいけないシーンとした図書館ではなく、図書館に行げば何か楽しいこと、面白いことがある、賑やかな図書館にして欲しい。  

第2に子供達の活字離れが甚だしいので、物心つかない幼児の内から、本の面白さ、楽しさが身に付き、本を読むことが習慣付け出来るような図書館にして欲しい。更には1階フロアであること。その結果小さい乍らも半分近くのスペースが子供用である「なぎの木文庫」図書館が完成した。以来12年、年々利用者が増え続け、親子で手をつなぎ利用する姿が常態化しています。関係者各位の努力のお陰で、昨年は「子供の読書活動優秀実践図書館」として文部科学大臣表彰を受けました。また、人口2万人規模の図書館として利用率日本一を5年連続維持しています。

一方ホールは、当時多目的ホールが主流でありました。それは言葉を替えて言えば無目的ホールではないか、はっきりした目的で建てるべきと主張し、音楽に的を絞り音楽ホールにしました。それは、益々国際化が進む中で音楽こそ言葉は解らなくても相互に理解し合える共通言語である、又、当町は達の情操教育にもなるからです。音響効果抜群のこの「いさだホール」は演奏家の方々の評判となり、当町の音楽に対する姿勢が評価され、その考え方に賛同していただける一流アーティストが集まり「竜洋フェスティバル・オーケストラ」を持つまでになりました。小学生は「なぎの木金管バンド」、「いさだ児童合唱団」、若者達の「ミューズアンサンブル」、大人達の「ドルチェの会」等々数多くの音楽愛好団体が誕生、活動しているのは誠にうれしい限りです。

子供達が感性豊かな人間になるよう、幼・保育園生や小中学校の生徒を全員年1度は音楽鑑賞の場を設け大いに感動、感激を味わってもらう試みを続けています。そんな中で、現在、竜中生徒700人中約百人が音楽部員となり、今問題となっている不登校や問題行動も少なく、意外と早く効果が出ているのかなと感じる昨今です。一方社会資本整備にも力を入れ下水道は普及率80%、県下2位、公園を沢山つくったので町内外から「公園町長」の異名をいただいています。公園は住民で人当たり面積19平方米県下3位の整備率を誇る迄になりました。本年は日本一大きな高さ100m、1,900kwの風力発電が完成します。

そろそろ出処進退を明らかにせねばと考えていたら平成の大合併が始まり、責任上引続き町政を担うことになりそうです。

我が家はどういう訳か4代連続町長をさせていただき、家訓に「高踏勇退」の扁額があります。先祖が代々守ってきたこの家訓を踏みはずさないよう、多選の弊害といわれないよう心して後世合併が高い評価が得られるべく頑張る覚悟を決めた所です。