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 今 ”ゆふいん”が!

印刷用ページを表示する 掲載日:2001年9月3日

大分県湯布院町長 吉村格哉

昭和30年2月に、“由布院町”と“湯の平村”が合併をして、生まれた“湯布院町”も以来40六年の歳月が過ぎ、ここに1万2千人の定住者のもとに、年間約400万人からの交流人口を有する、「潤いのあるまち」・「癒しの里」としての温泉街となっています。

全国第3位の湧出量をほこる豊富な温泉と霊峰由布岳(1,584米)を中心とする山々に囲まれた小さな盆地の“まち”が、常に皆さん方が行ってみたい“まち”の上位に位置付けられ、常に行って良かったと言われる“まち”と評価をされていることに、感謝を申し上げるところであります。

しかしながらそこには、私たちは常に国民保養温泉地をめざし、俗に温泉地にありがちな歓楽街をかたくなに排し、常に町民と行政が……そして事業者の三者一体のなかで、生活型観光地をめざした“ゆふいん”のまちづくりが、今日的なブランドとして築き上げられたと思います。

1人からはじまる「まちづくり」を理念に策定された“基本構想”“まち”の均衡ある発展を目指し、町民と行政が協力して事業活動を適切に誘導・抑制して、“まち”の成長を管理して行くために「潤いのある町づくり条例」を制定し、“ゆふいん”に住んでいる人が“住んでよかった”と言われるような、町づくりをしていくのが、“ゆふいん”のまちづくりです。そこに、年間400万人からの交流人口を生みだす結果となり、「ゆふいんブランド」として構築されたと思っております。

しかし、このブランドの確立とともに、町内外の事業家により経済活動が活発化してまいりました。経済が活発化して交流人口の増加に結びつくことは、大へん喜ばしいことでありますが、反面、利益追求のあまり、“まち”が俗化されてきて、生活型観光地が壊されていくことは、非常に心配でならないし、特に最近は皆さん方からそうした声が多く寄せられているところでもあります。

こうした問題については、ただ規制等をもって対応すればすむことかもしれませんが、そういった姿は、ひとつの自治体では困難である今日、今は「まちづくりの精神」や「こだわり論」を通じて“ゆふいん”のまちづくりの基本である、自然環境や住環境あるいは農村景観を大切にした生活型観光地“ゆふいん”を、より理解していただくことが大事かと思いますが、それではやはり同じようなことになってしまうのではないかと心配もしております。

何としても今ここで、規制等を取り入れた条例をもって“まちづくり”に、取り組んでいくことができないものか、頭を悩めておりますが、これまで“ゆふいん”のまちづくりについてのフォーラムやシンポジウム等を通して種々の問題についての議論や調査内容を検討していくなかで、皆さん方からの良き知恵をいただきながら、疑問に応えていかなければならないと考えております。

また、広く町内外からの学識経験者や都市計画等の精通者をもって構成する「まちづくり政策戦略会議」を設立して、早い時期に何らかの措置を講じていきたいと思っているところでございます。

この会議は、ただたんに協議を重ねていくだけの会議ではなく、今日的な課題(改革の時代)をとらえて、真の“ゆふいん”の“まち”づくりの基本理念を確立していくことが大事なことではなかろうかと考えている次第であります。

諸先輩方が残していただいた、この“ゆふいん”の“まち”を、町民の皆様方と共に手をたずさえ、今日よりも更に素晴らしい“まち”に育み、次世代の“ゆふいん”を担う子供たちに、引き継いでいきたいと思うのであります。