ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
トップページ > 町村長随想 > 「若者の定住こそ町最大の福祉をめざして」

「若者の定住こそ町最大の福祉をめざして」

印刷用ページを表示する 掲載日:2000年10月23日

「若者の定住こそ町最大の福祉」をめざして

宮城県高清水町長 尾形勝通

桂葉清水の 湧くところ
榎の実の樹かげ 春秋に
水汲む影も 美わしき
町はゆかりの 高清水
(高清水中学校校歌より)

いつも母校の歌を想い出す。すると子供の頃の想い出が蘇る。盆踊り、天神祭りの夜店。稲上げの馬車の荷に乗って見た晩秋の夕暮れ。…………

我が町は高台に7つの清水が湧く所から、高清水と呼ばれ、その代表的な泉が、日本名水百選の桂葉清水。昔より町民の暮らしをひっそりと映し出して来ました。

今年は近年にない猛暑ですが、どんな干旱の時も涸れることなく、桂の木影の下にこんこんと湧き出ています。終戦の年も暑かったと聞きます。忌まわしい戦争から解放された喜びと、敗戦の恐怖と混乱。そして空腹。あの時桂葉清水を飲んだ数多くの町民。疲れ切った心と体に勇気と生きる自信を与えてくれたのではないか。

そんな事を想いながら行く夏を惜しんでいます。この泉が我が町民の心のふるさとなのです。

さて、私は平成11年4月、2度目の挑戦となった町長選挙で初当選。県内最年少首長として町政の重責を担うこととなり、席が温まる間もなく1年半が経ちました。就任以来「若者の定住こそ町最大の福祉」と言い続けています。町の人口が減少傾向をたどる中、これからの超高齢化社会を支える為には、町の総合的な懐に合った人口規模を維持していくことが不可欠であり、町の活性化による若者定住が喫緊の課題であります。その為、行政サービスの在り方を見直し、自治体の本旨である住民自治を徹底していこうと呼びかけています。

行政は上から与えられるものという感覚から脱しなければなりません。町民の皆様が、町から何をしてもらえるかではなく「今、この高清水の町の為に自分は何が出来るのか」を考え、行動に移していただけるような住民自治の町をめざしたいと考えています。

そこで、町民から公募した「21世紀町づくり委員会」を発足させ、長期総合計画への提言をワークショップで描いていただき、自らの町づくりであるという「CS(町民満足)」を高めていこうとしています。この委員会は地元の宮城県立大学事業構想学部と連携し顧客満足ゼミの学生11名にサポーターとなってもらい、自由で新鮮かつ、時代感覚にすぐれた発想でアドバイスをいただいています。

さらに、若者定住促進の重要施策として、幼稚園保育所の合築事業に取り組んでいます。近年、共働き世帯の一般化、核家族化の進行等家庭における保育機能の低下により、幼稚園保育所への入園を希望する家庭は日増しに増えています。「町で生まれる子供は地域の中で育てたい。」これが町民の願いであります。

「日本一子育てのしやすい町」をめざして、子育て支援センターも併設。地域の婦人会やボランティアグループの子育て支援システムを整備してまいります。幼保の本格的な一体化は全国にも例がなく、国の所管も異なっており、大きな困難を伴なうと思いますが、国の縦割り行政を打破し、全国のリーディングケースになる画期的な事業になると確信しています。

本年4月から介護保険、さらに地方分権一括法がスタートしました。これからは地方自治体の自立と実力が即、町民生活の質を左右することになります。地方分権型社会という用語が1人歩きしていますが、これは中央集権的であり、これからは地方主権確立の時代であると言った方が相応しいと思います。

私は21世紀を見通した時、加速度的に進むIT革命とグローバル化によって時代の変化が一層はげしくなるだろうと予測しています。まさに「海図なき新たな時代に船出するのだ」との思いを強く懐いています。

羅針盤は?それは住民との対話であります。「若者定住こそ町最大の福祉」をキャッチフレーズに住民自治の町をさらに推し進めてまいります。