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 人類と自然の恩恵

印刷用ページを表示する 掲載日:2000年9月4日

静岡県小笠町長 黒田淳之介

昭和29年3月31日に、小笠村、平田村、南山村の3ケ村が合併して生まれた小笠町は、静岡県の中西部、小笠郡のほぼ中央にあります。町は東南北の三方を牧之原台地に続く緩やかな丘陵に抱かれ、南西に向って開けた平野には、菊川をはじめ中小の河川がゆったりと流れています。

気象はいたって温順で年間の日照時間は2千時間を超え、平均気温も15℃前後と快適な海洋性気候に恵まれている。小笠町へのアクセスは東海道新幹線掛川駅や東海道線の掛川、菊川両駅を利用できるほか、東名高速道路の菊川インター、掛川インター、相良牧之原インターが利用でき、この数年で飛躍的に便利になりました。又今後、静岡空港、第2東名、小笠山総合運動公園の建設、御前崎港の整備など町をとりまく、新しい時代に向かっての国や県の大規模プロジェクトも目白押しです。このように、豊かな自然環境と地勢的条件に恵まれた小笠町は、平成六年の町制施行40周年を機に「やすらぐ環境につつまれ、潤いと活力に満ちたまち」をまちづくりの理念とした新総合計画を策定し、町民が生活のゆとりと活動のエネルギーを感じながら暮らせるまちを目指しており、その実現に向って4つの目標が設定されました。それは・・・・

(1)便利で安心して快適に暮らせる「生活基盤」。
(2)健やかな心身やぬくもりの連帯感がみなぎる「地域基盤」。
(3)豊かな人材を育み生きがいを高める「教育文化基盤」。
(4)伝統ある産業と新しい産業が共栄する「産業基盤」。

であります。

「現在(7月1日)小笠町の人口は15,952人、ゆるやかに増加しておりますがこの内1,565人の外国人の方が生活しております。人口の1割に当ります。

基幹産業は農業ですが、茶、米、施設園芸(トマト、メロン、イチゴ等)が主たる作物です。最近は観光農業もさかんに行われるようになり、米の転作率42%という厳しい農業状況の中で、それぞれの農家は一生懸命努力し、アイディアを出し、挑戦し頑張っております。人材の育成にも力を入れ、今年は図書館の建設が始まります。大いに図書館を町民が利用して、自己の向上につとめて頂ければ幸いであります。

又今年は太平洋側の遠州相良町から秋葉街道を通り長野県塩尻を経由し千国街道を通り日本海側新潟県糸魚川市に至る「塩の道」がご縁で、5年ほど前から交流が始まっておりました長野県小谷村と姉妹町村提携を5月の塩の道祭の時、結ぶことが出来ましたことは、大変よろこばしいことであります。

近年、世の中殺伐とした事件や普通では考えられない様な事象が多く発生しております。世紀末は色々なことが起きると町の長老から聞きましたが正に、そのとおりの様な気がします。

人間だけでこの世の中を形成していると思っている人が多すぎる。人類は自然の恩恵を忘れている、自分の周りの虫とか鳥とか草とか木とか、全て水を頼りに生きている、生命と水との関係を、どう維持しているかが地域の課題と言ってもよい。当地域は、全ての生活用水を大井川の水に頼っているだけに痛切に感じています。

この様なことを思うと、自然の懐(ふところ)の深い小谷村との交流が出来ることは小笠町民に取って非常に意義あることだと思います。

村長さん始め小谷村の皆さんに心から感謝申し上げます。

自然とのふれ合いをより深め感性豊かな、思いやりのあるグローバルな考えの出来る人が育つことを望んでおります。