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 東京の秘境 「檜原村」からの発信

印刷用ページを表示する 掲載日:2000年5月22日更新

東京都檜原村長 鈴木陸實

東京都の一番西の端、「檜原村」です。正式名称は、東京都西多摩郡檜原村、内陸部では、東京で唯一の村であります。

平成12年1月1日の人口、3,446人、老齢化率34.3%、面積105.42平方キロメートル、93%が林野であり、過疎に悩み、少子、高齢化の進行と毎日戦っております。

風土記に江戸日本橋より行程16里なりとあります。即ち都心部より64キロメートルであります。南は山梨県・神奈川県に接し、北は奥多摩町に、そして東部がわずかに「あきる野市五日市」に向けて山が開けている、山間僻地で、東西13.8キロ、南北10キロメートルであります。

東京の最果ての地のように多分に蔑視を込めた呼び名で紹介されていましたが、エコロジーの世の中になったので、俄に自然を守れ、清流を汚すなの声に押され、今では、自然の宝庫、東京の奥座敷といわれるようになり何階級も一ぺんに昇格されたようであります。

村の周囲は1,000メートル級の山々の稜線が連なり、月夜見山や三頭山の源とする奥秋川の清流と緑豊かな山々は、格好の繁殖地として多くの鳥獣や植物が見られ、高原から平地までの動植物が、東京の中で見ることができる貴重なところでもあります。

森と清流は住む人達の素朴さを表わし、紅葉の錦は村民の心の美しさの反映であります。それが檜原村であります。

第3次に及ぶ長期総合計画で村の将来像を「森と清流のある、やすらぎの村」としております。そして、自主・自立の精神と、連帯で村づくりを目指して、5つの基本計画を樹て実現しようとしております。

キャッチフレーズは、「みんなでつくろう、三安の村」であります。これは、安全で便利な村・安心して住める村・安定した暮らしの村の意味でありまして、至るところで、巧まざるボランティア精神が生きている村でありますので必ずや実現出来るものと信じております。

村の生活の厳しさや、自然を守ることの難しさを、自然とのふれあいによって理解してもらおうと、数馬の地に、200ヘクタールにも及ぶ山林を山岳公園として都民の森と名付けて、動植物をウォッチングする小屋・ワサビ田・炭焼き小屋・三頭山への登山道・滝あり、24キロにも及び散策路等々、山からの恵みを実感出来る公園として200万人の人達が訪れています。また、村内の活性化グループも山林の中に「富士の森」という研修施設を作り、活躍をしておりまして、自然との共生の手本となっております。

村の中に子供の歓声が年を追う毎に少なく、平成10年には、僅か17人しか出生いたしませんでした。反対に年々老齢化率は増加して、超高齢化社会となっております。そこで子供から高齢者や健常者まで対象とした「やすらぎの里」が昨年四月からオープンいたしました。そこには、診療所、保健センター、老人福祉センター、福祉作業所、児童館、ゲートボール場、森林浴の出来るジョギングコースなどがあり、福祉の拠点となっております。

村の80%が秩父多摩国立公園に属していますので、村の全てが観光資源となっています。村を訪れる観光客は、四季折々、さまざまな彩りに魅せられ年間120万人にも及んでおります。

神戸(かのと)岩や払沢(ほっさわ)の滝、郷土資料館、数馬の里、都民の森などが人気の的となっており、温泉センター数馬の湯も、民宿と共に賑ぎわっております。

21世紀の初頭をめざして、村民の心を1つにして、「やすらぎの村」ここにありと誇れるような意気込みで邁進いたしておりますので、皆さんのご支援をお願い申し上げ随想といたします。