沖縄県国頭村長 知花 靖
1 はじめに
国頭村は、沖縄本島最北端に位置し、東は太平洋、西は東シナ海に面しています。総面積19,480haと本島では2番目に広い面積を有し、土地利用の約84.3%が森林となっています。村土の多くは、「やんばる国立公園」、「世界自然遺産」の区域となっており、季節ごとの植物や渡り鳥など自然を身近に感じる生活環境が大きな特徴です。
今年は、2016年9月15日の「やんばる国立公園」の指定から10年、2021年7月26日の「世界自然遺産」の登録から5年が経過いたします。“森と水とやすらぎの里”を掲げる本村では、ヤンバルクイナをはじめとする多種多様な固有種・希少種が息づく自然環境の保全と利活用が村づくりの大きな柱となっています。
また、村長として就任以降、人と自然が調和する村づくりを理念に、子育てや教育支援、移住・定住促進などの施策を推進してまいりました。本村の人口は、年々減少傾向にあり、令和4年からの4年間で208人が減少し、令和8年1月現在で4,388人となっています。また、65歳以上の割合が39.1%と10人のうち約4人が65歳以上となります。そのため、「子育て」と「住まい」の施策に重点を置いてまいりました。
2 子育て
まず、人口減少の歯止め策として、多くの子育て支援を手厚く提供させていただいています。結婚祝金や出産祝金の支給、高校卒業までの医療費助成、こども園の保育料と副食・主食費の無償化、小中学校の学校給食費の無償化を行っています。
また、小中学校に入学する児童生徒の保護者や、中学校を卒業する生徒の保護者に入学・卒業祝金、修学旅行を迎える児童生徒の保護者に対し修学旅行費の一部を支給させていただき、子育て世帯の経済的負担を軽減し、地域で安心して子育てができる環境を整えています。
3 住まい
また、子育て支援と同じく、人口減少対策として住まいの確保に取り組んでおり、国頭村を知ってもらうための移住体験住宅を2戸、移住希望者へ向け用意しています。実際に移住して来られる方に対しては、移住定住促進のための住宅を7戸、空き家を改修・活用した住宅を18戸整備しています。また、空き家の活用を希望する家主と、住宅を探している借主のマッチングを行う空き家バンク事業を実施し、移住者の受け入れ体制に力を入れています。
4 世界自然遺産と観光
「子育て」と「住まい」の施策とあわせ、世界自然遺産に登録された豊かな自然環境を活かした施策にも取り組んでいます。本物の自然を満喫していただけるよう、認定ガイドの案内によるネイチャーガイドツアーや森林セラピーツアーを実施し、ここでしか体験できない貴重な時間を提供しています。また、星空観察を楽しむアストロツーリズムを新たな観光コンテンツとして準備しており、昼間のネイチャーツアーとあわせ、夜にはアストロツーリズムを体験していただけるよう取り組んでいます。
また、スポーツ合宿の受け入れも積極的に行っており、プロスポーツでは日本ハムファイターズ、Jリーグのキャンプが行われています。その他、ウェイトリフティング日本代表、陸上の実業団チーム、大学のスポーツ合宿なども受入れており、秋口や春先には各分野のスポーツ選手やファン・関係者で活気をみせています。
5 おわりに
本村は、人口減少と高齢化が進行する小さな村ですが、ここにしかない世界自然遺産に登録された、世界に誇れる豊かな自然環境があります。この地域資源を活かし、本物を体験できるネイチャーツーリズムやアストロツーリズムのコンテンツ開発に力を入れていますので、沖縄を訪れる際は、ぜひ国頭村にも足を運んでいただきたいと思います。
また、安心して子育てができるように、結婚、出産から子育て、教育まで多くの支援策を実施していますので、自然に囲まれた環境での子育てや生活様式に関心のある方はぜひ移住体験住宅を活用していただきたいと思います。
引き続き世界自然遺産を活かした観光振興事業や移住・定住促進事業など、交流人口を促進する施策に力を入れ、魅力ある村づくりに取り組んでまいります。