長野県根羽村長 大久保 憲一
根羽村は、長野県の最南端に位置し、愛知県と岐阜県の県境にあります。村総面積89.97km²のうち94%を森林が占め、古くから熱心に森林づくりが進められ「根羽スギ」、「根羽ヒノキ」を中心に、村内のほぼ全域の森林が森林認証(FM認証)を、根羽村森林組合製材工場が流通加工認証(CoC認証)を取得しています。また、根羽村にある茶臼山を源流とする「矢作川」は延長118kmを経て三河湾へと注ぎ、三河地方の重要な水源となっています。流域にある明治用水土地改良区による村内での水源涵養林の所有、維持管理や、安城市との環境育林協定締結により共同で管理する「矢作川水源の森」、一般企業との連携など、流域全体の多様な人々と手を組みながら、流域全体の環境保全に取り組んでいます。
人口減少や気候変動危機など、社会環境の急激な変化とともに、数多くの課題が山積する中で、地域の特性や資源を最大限に活かしながら、どうすればこの村に集う人々の心が満たされる状態にできるのかが課題であります。こうした中で、「20年後の夢」をテーマに全村民を対象にした村民インタビューを職員で実施し、ここで出された村民の声をもとに、ともに幸せに生きていくための方向性を示す「ネバーギブアップ宣言2.0」をとりまとめました。そして、この宣言をベースに「住み続けたい村づくり」、「学びの村づくり」、「人と経済が循環する村づくり」の三つの村づくりの戦略を指針とする「第6次総合計画」を策定しました。小さな村が単独で動く力には限界がありますが、小さな村だからこそ素早く、大胆な動きをもたらすこともできます。これからの5年間で「矢作川流域の森づくりから森林資源の新たな可能性を見出す」、「学びの村づくり(教育・中間支援・社会教育)」、「空き家+関係人口づくり」、「村内で回るサイクル:地域内循環による持続可能な村づくり」、「ゼロカーボン・公共インフラ、エネルギーの自給自足」、こうした取組を村民みんなで進めていきます。そうした挑戦のサイクルを回しながら、村のより良い未来を描いていきたいと思っています。
また、令和6年度から3年間、地域資源を磨き上げ、その魅力を最大限に活用し、オンリーワンの持続可能な農山村地域を作るため「輝く農山村地域創造プロジェクト事業」を長野県との協働事業で取り組んでいます。当村の地域資源は森林であり、新しい森林経営を持続するための事業内容の創出と事業体制の構築により、自立していくことを考え、「利益を生み出す事業体の確立」、「売り上げが森に還元される仕組みづくりと見える化を行う」、「事業を拡大させるパートナーシップを広げる」取組を進めています。「利益を生み出す事業体の確立」では、大径材活用に向けた天然乾燥への新たな取組、枝葉などを活用した精油や芳香蒸留水の抽出、地元産苗木の検討、フォレスター等事業体メンバーの募集。「売り上げが森に還元される仕組みづくりと見える化」では、村全体の長期的な森林ビジョンの作成、里山活用を含めた森林ゾーニングの実践、森づくりの実行部隊となる中核組織の立ち上げ。「事業を拡大させるパートナーシップを広げる」では、流域へ働きかけるブランド形成をめざす「nebaneプロジェクト」の拡充。多くの皆さんとの関わりを作るためのフォレストカレッジアドバンスの開催などに取り組んでいます。3年目を迎えた今年は事業の集大成の年であり、村民の皆さんをはじめ、多くの関係者とともに精力的に事業を進めています。
地域に住む人々が、自分たちの住む地域に「誇り」と「自信」を持って、生き生きと生活することが地域づくりの原点であります。村にもさまざまな課題がありますが、常に前を見ながら進み、着実に次世代へとつなげていきたいと思っています。