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鬼の町!改質リグニンへの挑戦!

印刷用ページを表示する 掲載日:2026年9月14日更新

愛媛県鬼北町長愛媛県鬼北町長​ 兵頭 誠亀​​​

 「お前は鬼の遣いか!」9年前の町長選挙では痛烈な言葉を何回も浴びせられた。鬼北町…全国1700余りの自治体の中で、町名に「鬼」の文字が入る唯一の町。「鬼の棲むまち」として鬼のまちづくりを展開している。

鬼のモニュメント 鬼王丸

 十数年前、前町長が町内の道の駅2カ所に4メートルを超える鬼のモニュメントを制作した。当時2体で3千万円の経費を要したことと、怖いグロテスクな様相から、当時の町民の中には否定的な意見の方も多数おられた。

 しかし、ゆるキャラ全盛期にあって、逆に異様な胴体が評判となり、物珍しさから道の駅を訪れる観光客の方が増えたため、以来道の駅での農産物の売れ行きが落ちることなく推移しており、生産者をはじめ町民の方々の中でもモニュメントは市民権を得つつあると感じている。

 現在は、「鬼の造形大賞」「鬼のウォールアート」「愛ある鬼嫁コンテスト」など独自色を醸し出すイベントに励んでいる。

鬼のモニュメント 柚鬼媛

 鬼北町は四国西南の山に囲まれた典型的な中山間地域で、面積の8割を占める山林には、私たちの先代・先々代が植えた40年から70年生の杉・ヒノキが多数存在する。

 こどもたちは学校では、森林保護の意識を育むような教育を受けている。

 しかし今、私たちの世代やこどもたちの世代が「財産」だと思っている森林は、30年後に相も変わらない緑の財産としてそそり立っているだろうか。私はそうは思わない。100年生の間伐をしていない山の状況を見た人は誰もいない。多分「財産」ではなく、「価値として見いだせない厄介者」となる可能性が極めて高いと判断する。

 明治時代以降、林業を生業として生きてきた方は、必ず間伐を実施し、山を財産として守ってきた。それが山を大切にする者たちのルールだったはずである。

 私は、今の間伐の最適時期がきている森林の多くを、次世代への財産として、また町民が誇れる鬼北の自然環境として残していく作業が必要であると考えている。

 その徐間伐作業で生じた未利用材の活用方法として、杉の木を使った改質リグニン事業及びバイオマス発電を事業展開したいと考えている。

 杉の成分は、セルロースなどの繊維が70%、その残りの部分がリグニンといわれる物質である。これを化学反応させて出来たものが改質リグニンである。これは油性プラスティックに変わる、脱炭素社会の新しい社会生活に活用されるものとして期待されている。

 現在、鬼北町は「改質リグニン大規模製造技術実証事業」の実施地としてプラント建設を進めている。あくまでこの事業の目的は間伐であり、その間伐を推進する「手段」として位置付けている。

 現在の林業は、木材価格の低迷により森林所有者が間伐すると赤字になる状況…よって、木を切らない。近年のウッドショック時に、一時的に木材価格が上昇したため、所有する森林伐採を依頼する人が増えたが、林業経営というよりは、先達の植栽した杉・ヒノキを高値で売り切ろう…という形態で、全伐したところに植栽する方は珍しい。

 これは、次世代に再度財産を残そうとする長期的サイクルの林業経営ではなく、一時的な財産取得にほかならない。

 しかし、この状態は森林所有者から言えば当然の行いでもあり責めるつもりはない。

 これからの施策として、木材価格を上昇させるため、「改質リグニン」「木質バイオマス発電」という手段で、木材価格を付加価値のある、より高い水準で引き取ってもらう…このサイクル・システムを構築していくことで間伐を推進したいと考えている。

 またプラントでの雇用、そして木材関係事業者、さらに木材運送への雇用の維持・拡大という二次雇用・三次雇用にもつながっていけば、他の町にはない林業振興の土台作りとなりうると考えている。

 このような状況の副産物・付加価値として企業誘致に付与する事業と考える。

 国県のお力も必要だが、最後には、【鬼北町の財産】を守っていくには、今の町民の、後世・未来に対する投資と決意が必要である。

 もう少し頑張ろう!