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小さくても強い村へ

印刷用ページを表示する 掲載日:2026年9月7日更新

秋田県東成瀬村長  備前 博和秋田県東成瀬村長 備前 博和​​

 秋田県東成瀬村長の備前と申します。5月の村長選挙において、二期目の村政を担わせていただくこととなりました。どうぞよろしくお願いいたします。

 私が生まれ育った東成瀬村は、秋田県の最南東端、栗駒国定公園を擁する奥羽山脈の奥懐に抱かれ、岩手県、宮城県と県境を接する自然豊かな山村です。

 東西約17km、南北約30kmと南北に細長い村域を有し、総面積約204平方kmのうち、およそ93%を山林原野が占め、標高160mから1,400mを超える山々まで変化に富んだ地形が豊かな自然環境を育んでいます。一級河川雄物川水系の成瀬川が村を貫き、その清らかな流れは人々の暮らしや農業を支えながら、美しい景観をつくり出しています。

 また、県内有数の豪雪地帯であり、厳しい自然環境の中で育まれてきた助け合いの精神や粘り強さは、今なお地域文化の礎となり、明治22年の町村制施行以来、昭和と平成の大合併でも単独で存続する道を選び、137年の歴史を紡いでいます。

 一方、国勢調査人口は昭和22年の6,220人をピークに減少が続いており、令和7年では2,293人まで減少し、少子高齢化、担い手不足や地域経済の縮小といった課題に加え、ここ数年はクマやイノシシによる獣害といった新たな課題にも直面しています。

 現在、本村の南部で国家的プロジェクトである成瀬ダムの建設が令和9年度の完成に向けて最終段階となっています。成瀬ダムは、安全・安心な水資源を確保し、洪水調節による治水、農業用水の安定供給、水力発電など、多面的な役割を担う多目的ダムとして期待されています。本村では、この成瀬ダムを新たな価値を生み出す地域資源と位置付け、完成後を見据えた地域振興に取り組んでいます。本年6月には「東成瀬村観光未来プロジェクト」を立ち上げ、ダム完成を目前に本村の魅力や特性を改めて見つめ直しながら、観光振興をはじめ、交流人口・関係人口の拡大、地域経済の活性化、新たな産業の創出など、水源地域ならではの持続可能な村づくりを進めています。また、40名を超える地域おこし協力隊が村内に移住しており、多様な人材が、新たな視点やアイデアを生かし、地域課題の解決に取り組んでいることも、本村の特色と言えます。

 本村のような小規模自治体には、「できないこと」がある一方で、「小さいからこそできること」もあります。住民との距離が近く、一人一人の声が行政に届きやすいこと、地域全体で課題を共有し、迅速かつ柔軟に対応できることは、町村ならではの大きな強みです。人口規模の大小にかかわらず、地域の実情に即した行政の継続的な挑戦こそが、持続可能な地域づくりに資するものと考えております。

令和9年度完成予定の成瀬ダム

 地方創生の取組が始まって10年以上が経過しましたが、人口減少や少子高齢化は、一つの自治体だけで解決できる課題ではありません。しかし、その間、全国の町村では地域資源を生かした創意工夫が積み重ねられ、数多くの成果も生まれています。これからは、それぞれの町村や地域が培ってきた知恵や経験を共有し、互いに学び合うことが一層重要になるのではないでしょうか。

 本村もまた、全国町村会の一員として、生命の源でもある水を育む水源地域の責任を果たしながら、住民が将来に希望を持ち、安心して暮らし続けることのできる地域づくりを進めてまいります。そして、私がめざす「小さくても強い村」の実現に向けた歩みが、人口減少時代における町村行政の一つの道標となり、全国の町村との新たな学び合いや連携につながれば幸いに存じます。