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自然に学び己を知る

印刷用ページを表示する 掲載日:2026年6月15日更新

山形県小国町長 仁科 洋一山形県小国町長 仁科 洋一​​

小国町の風景

 はじめに、小さな国「小国町」を紹介します。

 小国町は、山形県の西南端、新潟県境に位置しており、両県庁所在地の山形市と新潟市まで、それぞれ約80キロメートルの地点にあります。総面積は737.56平方キロメートルで、東京23区がすっぽり入るほどの広さを有し、県土の約7.9%を占めています。しかしながら、住民生活の舞台となる平地(農用地などを含む)は約4%で、町域の94%以上は森林に覆われており、その70%以上はブナなど広葉樹を中心とする天然林です。周囲は、磐梯朝日国立公園に属し、1,000~2,000メートル級の連山からなる飯豊・朝日連峰がそびえ、まさしく小さな国、小国町を形づくっています。

 このような自然環境の中で、冬は豪雪地帯であるため、雪がもたらす水資源に着目した企業が、昭和12年6月、水力発電所の建設に着手し、昭和14年2月には完全運転の体制が確立しました。その電力を利用する製造業が立地したことにより、中山間地域には珍しい、第二次産業を中心とする町として発展することになりました。現在では、世界に誇る最先端の製品を製造する、ハイテク産業の町といっても過言ではありません。

 一方で、自然豊かな暮らしの中で、その自然から学ぶことは多々あり、まちづくりの展開においても、ブナの木の木肌の白さと一面の雪の白さから、町全体を「白い森」と呼び、施策と結びつけて多様な取組を進めています。そして、私たちの「白い森の国おぐに」は、今「小国町まるごとブランド構想」を推進し積極的な発信に努めています。町の財産である豊かな自然、その中で育まれてきた技術と文化。そのすべてを外から認めていただき、白い森ブランドとして確立していく夢を持っています。

 さて、山間地にある小国町には、かつて隣の新潟県から、たくさんの海産物を背負った、「行商のおばさん」が、小国町内の自分の担当地域に、当時の国鉄米坂線に乗って毎日のようにやって来ました。時には天候の急変で、列車が止まることもありますが、その時は臆することなく、定宿になっているお宅に声を掛けます。「こんばん、泊めて下さいな」。そうして、一夜の宿をおしゃべりで楽しみ、翌日に帰っていくのがあたりまえのことでした。そのような慣習があった小国町の人は、今でも大変優しく町外の方を受け入れて、もてなしてくれます。

小国町の風景

 南北に長い小国町の南の地域(南部地区)は、隣接する新潟県関川村と有名なイギリスの旅行家イザベラ・バードが歩いた峠道でつながっています。一方、北の地域(北部地区)は日本海に面する新潟県村上市と結ぶ塩の道がありました。そしてこの両地域と小国町は、稲作を通しても深い交流があったのです。豪雪地帯の小国町は、春の融雪時期が関川村、村上市と比較して一か月程度遅くなります。新潟県で田植えが終わる、あるいは稲刈りが終わるころ、漸く小国で田植えが始まり、秋なら稲刈りが始まります。農繁期が終わった関川村、村上市からは、忙しい小国町の農作業を手伝うために峠を越えて、何日かの泊りで応援に来てくれていたそうです。そうした交流が続く中で、婚姻に結びつくことも多かったと聞いています。「小さな国」であるのにもかかわらず、他地域との深いつながりも小国町の特徴といえるでしょう。

 大きな自然に囲まれた中で、培われた人の優しさ、生きる力の逞しさ。これらを土台に、自然に学び、己を知って、白い森のブランド化を進めていきます。白い森ブランドの魅力の一つとして、飯豊山麓には、体と心を温める温泉宿「飯豊温泉梅花皮荘」があります。また、その先には、飯豊連峰への登山口、「温身平」があり、心身を癒やしてくれる「森林セラピーロード」が整備されております。ぜひ、自然の学びを実感しに、小国町へおいでください。お待ちしております。